13 上峰町切通出土甕棺とその遺物
昭和55年3月21日指定 所在地 古枝(下古枝 祐徳博物館)
背振山地南麓から分かれて延びる二塚山丘陵上の上峰町大字堤字四本谷に位置する切通(きりとおし)遺跡では、昭和31年(1956)土取り工事中に約40基の甕棺墓が出土しました。これを機に発掘調査が実施され、29基の甕棺墓のうち4号甕棺墓(弥生時代中期前半)からは、完全な男性人骨に伴って銅剣1口、貝輪10個が発見されました。
甕棺(かめかん)は2個の素焼の大甕を用いた合口甕棺(あわせぐちかめかん)で、上甕は器高86.2cm。口縁は断面F字形、胴の中ほどに三角突帯を1条めぐらせています。下甕もほぼ同じ大きさですが、下半を欠損し胴には突帯が2条めぐるといった違いがあります。
銅剣はほぼ完形の細形銅剣で、現存長23.5cm。刃部の左右には刳方(くりたか)を設け、その位置まで刃部および鎬(しのぎ)を研ぎ出しています。貝輪は10個とも南海産のゴホウラ貝を縦切りしたほぼ同じ大きさの腕輪で、内長径約7cm、内短径約5cm、側縁高約1.5cmです。
これらの遺物は朝鮮半島および南方との交流を示すもので、弥生社会の国際性をよく表わしているとともに、被葬者の性格、さらに弥生時代社会を知る上でも貴重な資料です。
写真提供 佐賀新聞社「ふるさとの美と心」