西成・女性医師死亡:「自殺じゃない」遺族が情報呼びかけ

毎日新聞 2012年11月13日 21時57分(最終更新 11月13日 23時47分)

追悼集会でクリスチャンだった矢島祥子さんを悼み賛美歌を歌う父祥吉さん(右から4人目)、母晶子さん(右端)ら=大阪市西成区で2012年11月11日、塩田彩撮影
追悼集会でクリスチャンだった矢島祥子さんを悼み賛美歌を歌う父祥吉さん(右から4人目)、母晶子さん(右端)ら=大阪市西成区で2012年11月11日、塩田彩撮影

 大阪市西成区を流れる木津(きづ)川で3年前の11月、女性医師が遺体で発見された。群馬県高崎市出身の矢島祥子(さちこ)さん(当時34歳)。日雇い労働者が多く住む同区の釜ケ崎で、路上生活を送る人々の安否を気遣う夜回り活動を続けていた。警察は事件と自殺の両面で捜査しているが、家族は命日の14日を迎え「釜ケ崎の街を愛し、一生懸命仕事をしていた祥子が自殺するはずがない」と訴え、情報提供を呼びかけている。

 今月11日、冷たい雨が降る釜ケ崎の通称三角(さんかく)公園(萩之茶屋南公園)に河内音頭のメロディーが響いた。

 「体壊して死にそな人や 野宿する人 そういう人の傍(そば)に寄り 笑顔で優しく語りかけ 医療活動に従事した−−」

 地元ミュージシャンが歌うのは、矢島さんの生き様を替え歌にした「さっちゃん先生物語」。追悼集会には100人を超える日雇い労働者や路上生活者、遺族の支援者らが集まり、矢島さんの兄弟らによるギターや太鼓の伴奏に耳を澄ませた。

 矢島さんは01年から医師として大阪市で勤務し、路上生活者らを支援する「野宿者ネットワーク」に加わり夜回りを続けた。釜ケ崎の診療所に赴任したのは07年。同ネットワークの生田(いくた)武志代表(48)によると、心配な人がいれば病院への付き添いや買い物の代行もし、亡くなる前の数年は毎冬、寝袋100袋を自費でカンパしていたという。

 西成区の塩野澄枝さん(79)はテント暮らしをしていた01年ごろ、矢島さんと出会った。「先生」と呼ぶと「さっちゃんでいいよ」。塩野さんがアパートに移ってからも「体の調子が悪い」と電話すると自転車で駆け付けてくれた。「先生は大切な友達やった。もう一度会いたい」。部屋にはA4サイズに引き伸ばした矢島さんの写真3枚を飾っている。

 父で医師の祥吉(しょうきち)さん(68)によると、矢島さんは水泳が得意でクリスチャン。「川で自殺するはずがない」。今年8月、大阪府警西成署に容疑者不詳の殺人と死体遺棄容疑で告訴状を提出、受理された。

 母晶子さん(68)は毎月、今も当時のままの矢島さんのアパートの部屋に泊まり、月命日に支援者とビラを配り情報提供を呼びかけている。ビラは今月、4万枚に達した。

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