ネット掲示板:書き込みへの人権相談 昨年は3113件
毎日新聞 2012年11月24日 15時00分
インターネットの掲示板の書き込みを巡り、法務省の人権擁護機関(地方機関の法務局や地方法務局)が受け付けた人権相談件数が昨年1年間で過去最多の3113件に上り、10年前の約16倍に増えたことが同省人権擁護局の統計で分かった。
悪質なケースでは、国が被害者本人に代わってプロバイダーや掲示板管理者に削除要請することもできるが、十分に周知されていないため、同局が活用を呼びかけている。
主な相談内容は、ネット上に実名や住所を書き込まれたり、中傷されたりしたことで、精神的な傷を受けた▽虚偽の情報で社会的信用を失い、どう対処したらよいか困っている−−などというもの。
同局の統計では、01年の相談件数は191件だったが、その後、増加の一途をたどり、05年に1000件を突破。10年に初めて3000件を超えていた。
法務局などは、昨年1年間に受け付けた相談のうち、624件は名誉毀損(きそん)やプライバシー侵害に当たる可能性があると判断。うち559件でプロバイダーや掲示板管理者に対する削除要請や発信者情報の開示請求について具体的な方法を助言し、62件で相談者の依頼を受けて、本人の代わりに削除要請した。
人権侵害を受けた本人の削除要請に応じなかったプロバイダーや掲示板管理者でも、法務局の削除要請には応じたケースも少なくなく、昨年の削除率は同省が把握しているだけで6割を超えているという。
相談は地元の法務局や地方法務局へ(共通番号0570・003・110)。
【伊藤一郎】
◇国の要請で書き込みが削除された例
・自分の娘の氏名と「きもい」「うざい」「嫌われている」などの中傷(北海道の女性)
・自分の氏名と「太っている」「詐欺師」「他人の悪口を言いふらしている」などの中傷(九州地方の40代男性)
・自分の娘の氏名と顔写真、異性との交際歴(東日本の男性)
・自分の氏名と元交際相手が撮影したとみられる性的画像、携帯電話のメールアドレス(東海地方の40代女性)
・自分の氏名と年齢、風俗店に勤務していた過去とその店名(関東地方の30代女性)