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50代高校教諭に懲役6年 教え子へのわいせつ事件

 教え子の女子生徒2人にみだらな行為をしたとして、児童福祉法違反の罪に問われた佐賀県立高校の50代男性教諭の判決公判で、佐賀地裁は16日、「教師としての立場を悪用した卑劣な犯行」として懲役6年(求刑懲役8年)を言い渡した。弁護側は無罪を主張しており、判決を不服として福岡高裁に即日控訴した。

 

 この公判は、被害者からの要望を受けた検察側の申し立てを受け、被害者保護を目的とした刑事訴訟法の規定に基づき、教諭の氏名のほか同僚教諭や生徒らの氏名、犯行時期、現場とされる学校名など大半を秘匿して審理された。被告側は一貫して無罪を主張し、「女子生徒2人の供述内容は変遷しており、信用できない」としていた。

 

 判決理由で若宮利信裁判長は、女子生徒2人へのみだらな行為があったかどうかについて「第三者的な証人はいないが、唯一の直接証拠である2人の供述内容は、具体的かつ詳細で信用できる」と認定。その上で「部活動の顧問という立場を利用し、逆らえない被害者にみだらな行為をした卑劣な犯行」と述べた。

 

 判決によると、教諭は運動部の顧問をしており、当時18歳未満だった部員の2人に、校内でみだらな行為をした。

 

 実刑判決が出たことを受け県教委の川崎俊広教育長は「あってはならないことで大変残念。重く受け止め、厳正に対処したい」とするコメントを出した。

 

■「匿名」弁護側不満も 公平な公開裁判に課題

 

 県立高校教諭による児童福祉法違反事件で、佐賀地裁は16日、被告に実刑判決を言い渡した。裁判は、性犯罪の被害者を守るため、被告の実名なども伏せて審理されたが、今回は被告が一貫して無罪を主張。有罪か無罪かが争われただけに、被害者保護と同時に、憲法で保障された被告人に公平な公開裁判を受ける権利をどう両立させるかという点で、課題を残した。

 

 判決は、女子生徒2人の供述を「信用できる」として懲役6年を言い渡した。犯行を裏付ける物証がほとんどない中、唯一ともいえる直接証拠を全面的に採用したかたちだ。

 

 これに対し、供述の信用性を否定する弁護側は「法廷では、あいまいな供述は指摘しなければならないが、氏名など隠さなければならないことを考えながらでは反対尋問の流れが阻害された。弁護活動がやりにくく、過剰な被害者保護だった」と匿名による弊害を指摘した。

 

 一方、佐賀地検の馬場浩一次席検事は「高校で起こった性犯罪という事件の性質上、被害者のために最大限配慮し、被告の名前も伏せる必要があった。被告の防御権が制限されることはなかった」と強調した。

2011年08月17日更新
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