京都・亀岡の車暴走:車所有少年に罰金刑 「事故と関連乏しい」−−京都地裁判決

毎日新聞 2012年11月03日 大阪朝刊

車の所有者少年への罰金刑判決に対し、記者会見で憤りや不満を述べる遺族ら=京都市中京区で2012年11月2日、田辺佑介撮影
車の所有者少年への罰金刑判決に対し、記者会見で憤りや不満を述べる遺族ら=京都市中京区で2012年11月2日、田辺佑介撮影

 京都府亀岡市で4月、集団登校の列に車が突っ込み、児童ら10人が死傷した事故で、道交法違反(無免許運転)教唆の罪で在宅起訴された車の所有者の少年(19)に対する判決公判が2日、京都地裁であった。入子光臣(いりこみつおみ)裁判官は起訴内容をすべて認定したうえで、「事故との関連性は乏しく、量刑に及ぼす影響は極めて限定的」とし、罰金25万円(求刑・懲役1年)の有罪判決を言い渡した。弁護側が求めていた執行猶予付き判決をも下回る量刑となった。【田辺佑介】

 事故を巡っては、少年3人が起訴され、同3人が保護処分になった。判決は初めて。

 判決によると、所有者少年は事故前日の4月22日未明、遊び仲間とドライブ中、土木作業員少年(19)=中等少年院送致=が無免許と知りながら運転を依頼し、車を貸した。

 その後、所有者少年が下車後も他の少年らが交代で運転し、無職少年(18)=自動車運転過失致死傷などの罪で公判中=が事故を起こした、とされる。検察は「車の貸与がなければ事故は起きなかった。結果は重大」として、同罪で上限の懲役1年を求刑していた。

 入子裁判官は、土木作業員少年の後に運転した無職少年が200キロ以上も走行後に事故が起きたことから、「(車の貸与と事故は)時間的にも距離的にも相当離れている」と指摘し、「求刑は重きに失する」と述べた。

 起訴された3少年のうち、残る1人は道交法違反(無免許運転)ほう助罪で公判中。

 京都地検の中田和範次席検事は「判決内容を精査し、上級官庁とも協議の上、適切に対応したい」とコメントした。

 ◇「悔しくて仕方がない」遺族、控訴求める

 京都府亀岡市の集団登校事故で、車の所有者の少年への判決が罰金刑だったことに対し、遺族や被害者の家族らは落胆と憤りをあらわにし、検察に控訴を求めた。

 閉廷後、事故で死亡した3人の遺族や負傷者の家族らが記者会見した。亡くなった横山奈緒さん(当時8歳)の父博史さん(38)は「車を貸して事故のきっかけを作った張本人が罰金で終わりとは。悔しくて仕方がない」と唇をかんだ。小谷(おだに)真緒さん(当時7歳)の父真樹さん(30)は「軽い考えで車を貸しさえしなければ、みんながけがをしたり亡くなったりすることはなかった」と怒りを込めた。

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