田園調布死亡事故:「危険運転」を適用せず 懲役7年判決−−東京地裁

2012年11月17日

 東京・田園調布で10年、乗用車を暴走させて男児2人を死なせたなどとして、危険運転致死傷罪に問われた造園作業員、宮田智裕被告(22)の裁判員裁判の判決が16日、東京地裁であった。大野勝則裁判長は危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)は成立しないとして、より刑の軽い自動車運転過失致死傷罪を適用、上限となる懲役7年を言い渡した。

 検察側は「高速運転中に蛇行しようと右に急ハンドルを切り、走行を制御できなくなった」として懲役15年を求刑。予備的に、自動車運転過失致死傷罪が適用される場合は同7年が相当としていた。

 これに対し、判決は蛇行走行を否定し、急ハンドルは「車内で流していた音楽(ラップ)に合わせて切った」と判断。見通しの良い直線道路だったことなどから「(危険運転致死傷罪の要件である)制御困難な高速走行だったと言えず、事故の直接原因は不適切なハンドル操作」と結論づけた。

 判決によると、被告は10年12月26日夜、大田区田園調布本町の都道を制限速度の20キロ以上の時速70キロ超で走行中、歩道に突っ込み、小学3年の水島光偉(みつより)君(当時9歳)=栃木県下野市=といとこで幼稚園児の水島遼人(はると)君(同6歳)=さいたま市=をはねて死亡させ、一緒にいた2児の祖父母や、同乗者3人を負傷させた。

 判決後、光偉君の父亮(りょう)さん(38)は記者会見し「2人の命を奪ったふざけた運転に対して量刑があまりに軽い」と不満をあらわにした。遼人君の父裕貴(ひろたか)さん(39)も「私たちの願いは同様の(危険)運転がなくなること。あきらめられない」と検察に控訴を求める意向を示した。

 裁判員と補充裁判員を務めた計3人も会見し、裁判員だった50代の女性看護師は自動車運転過失致死傷罪と危険運転致死傷罪の最高刑の差が大きいことについて「もう少し中間の部分が必要ではないか」と語った。【和田武士、松本晃】

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