夢の扉+12月11日放送【TPP打破無人で働くトラクター】の詳細情報です。
◎ナレーター:向井理
◎ドリームメーカー:野口伸(北海道大学農学研究院教授)
■農業の救世主!トラクターを無人で動かせ…北海道大学農学研究院教授・野口伸(50歳)
「無人で動くトラクターで、北海道の農業、日本の農業を変えたい!」
そう訴えるのは北海道大学農学研究院の野口伸教授だ。
深刻な人手不足や、農業従事者の平均年齢が65.8歳という高齢化、TPP交渉への参加など、
日本の農業は多くの難問を抱えているが、野口は、その救世主として活躍が期待されている
「無人で動くトラクター」の開発者だ。
北海道出身の野口は、バイオエネルギーなど農業研究を進めていた大学助手の頃、
十勝の広大な畑である光景を目にした。三世代の家族が総出で、日暮れまで黙々と作業する姿。
途方もなく広い北の大地を前に、疲れ果てたその家族の姿に衝撃を受けた。
「これは本当に大変な作業だ。自分のやれることで何かできないか」。そう考えた野口は、
人の代わりに作業をする、農業ロボットで手助けをしようと心に誓い、無人で農作業する
トラクターの研究に没頭したが、膨大なコストや安全性の問題などでいったんは開発を断念。
転機が訪れたのはアメリカ留学だった。
アメリカでは、大型の農機がGPSを使って合理的に効率良く作業していた。
「このままでは日本の農業は大変なことになる。日本もGPSを使って最新の技術で
立ち向かわなければ!」
帰国後、野口はGPSを利用した無人トラクターの開発に挑み、試行錯誤の末、試作機が完成。
しかし実用化には壁があった。アメリカのGPS衛星では、建物や山の中でデータが度々途切れ、
走行に誤差が生じることがあったのだ。
そして、2010年9月、日本で初めて測位衛星「みちびき」が打ち上げられた。
日本版GPSを利用し、より正確に安全に作業する無人トラクター実用化への挑戦だ。
岐路に立たされる日本の農業を救えるのか?今回の夢の扉+は、北海道の広大な農地と闘う、
農業ロボット開発の最前線に迫った。