忘れない:埼玉の小4死亡ひき逃げ事件「孝徳君に甘ぐり供えて」 毎日新聞読者から封書
2010年10月04日
◇母がお礼の手紙
昨年9月30日に埼玉県熊谷市で小学4年の小関(こせき)孝徳(たかのり)君(当時10歳)がひき逃げされ死亡した事件で、事件を取り上げた本紙記事「忘れない」(5月23日付)を読んだ読者から「孝徳君に甘ぐりを供えてほしい」と現金3000円の入った封書がさいたま支局に届いた。記事では母代里子さん(42)がスーパーで買い物中、以前に好物の甘ぐりをねだる孝徳君に「ダメ」と言ったことを思い出し、ぼろぼろ泣くくだりがあった。封書には「東京都 渡邉」とだけあり、連絡先はなかった。代里子さんは「渡邉」さんへのお礼の代わりとして孝徳君へ次の手紙を書いた。【藤沢美由紀】
あの日「ダメ」って言ってごめんね。
給料日、スーパーで500円の甘栗詰めほうだい
いっぱい詰め込んで 食卓で甘栗むいては私にくれましたね。
大好きな甘栗なのに 本当は孝徳が沢山食べたいはずなのに、一番最初に私に手渡して私が「もう、いいよ。」と言うまで何度もむいてくれました。
今 孝徳は天国のお父さんと一緒にいますか?
今度はお父さんに甘栗をむいてあげてほしいな。
お母さんはお腹がいっぱいだから大丈夫だよ。
とそう言っても あなたはきっと甘栗をむいては私に手渡してくれる優しい息子でした。
孝徳にひとつだけお願いがあります。
あなたにいつかまた会える日が来るまで、お母さんは頑張って生きてみます。見ててね。
孝徳がむいてくれた甘栗、本当においしかったよ。
ありがとう。母