忘れない:ナンバー追跡2万台 現場に立ち続ける母(熊谷 小4男児ひき逃げ)
2010年05月23日
半月後、警察官に「物証が少なく難しい事件」と聞き、「私が(犯人を)捜すしかない」と思った。手掛かりを求めて地図を開き、現場へ向かった。10月21日に周辺を通る車のナンバーをメモし始めると、同じ小学校の保護者ら十数人も加わった。
ナンバーは「熊谷」「群馬」など車両の登録地ごとに分類。さらに現場付近を七つのルートに分け、車が、どのルートを、どの方向に向かったかを一覧表にし、埼玉県警に提出している。犯人の住む地域や通行目的を探るためだ。「なぜひいたのか」を聞くまで、現場では泣かないと決めている。自分の心がなえてしまったら、孝徳が一番心配する。
時効は10年。短いと思うが、犯人に近づいている実感がある。ただし、逮捕には地域の人からの情報が必要だと思う。
最近、買い物に行ったスーパーのレジでぼろぼろ泣いた。甘ぐりをねだる孝徳君に「ダメ」と言ったことを思い出し、こらえきれなかった。
「できるなら、もう一回抱きしめたい。それがもうできないと、犯人に分かってほしい」【藤沢美由紀、平川昌範】
◇熊谷・小4男児ひき逃げ事件
09年9月30日午後6時50分ごろ、埼玉県熊谷市本石(ほんごく)1の市道で、市立石原小4年の小関孝徳君がひき逃げされ死亡した。タイヤ痕などから、ひいたのは排気量1800〜2000CCの車とみられる。埼玉県警は、自動車運転過失致死と道交法違反(ひき逃げ)容疑で捜査している。現場は国道17号につながる抜け道のため、県警は捜査範囲を拡大。輸出直前の中古車を神奈川まで追跡したこともある。事件直後、現場では雨が降った。
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