忘れない:ナンバー追跡2万台 現場に立ち続ける母(熊谷 小4男児ひき逃げ)

2010年05月23日

親類の飼い犬を抱く孝徳君=09年4月<a href="http://video.mainichi.co.jp/viewvideo.jspx?Movie=48227968/48227968peevee311066.flv">◇関連動画はこちら◇</a>
親類の飼い犬を抱く孝徳君=09年4月◇関連動画はこちら◇
小関孝徳君がひき逃げされた埼玉県熊谷市の市道<a href="http://video.mainichi.co.jp/viewvideo.jspx?Movie=48227968/48227968peevee311066.flv">◇関連動画はこちら◇</a>
小関孝徳君がひき逃げされた埼玉県熊谷市の市道◇関連動画はこちら◇

 ◇2人きりだった家族 

 息子がひき逃げされた道路に、母(42)は週2回立ち続ける。「なぜひいたのか。誰がひいたのか」。通り過ぎる車のナンバーを、ボールペンで1台ずつ書き取っていく。09年9月、埼玉県熊谷市の市道で、小学4年生の小関(こせき)孝徳(たかのり)君(当時10歳)がひき逃げされ死亡した。「子を亡くしたかわいそうなお母さん」とは思われたくない。母が、犯人に手が届くと信じて書きためたナンバーは2万を超えた。

 孝徳君が4歳の時に父親が病死した。家族は2人きりだった。「行ってきまーす。お母さん、お仕事頑張ってね」「気を付けてね」。9月30日朝、玄関で交わした最後の声が耳に残る。ひき逃げされたのはその日の夕方。書道教室からの帰り道だった。乗っていたのは青いマウンテンバイク。自分がついていなくても乗るのを許してあげたのは半年前のことだ。

 お母さん思いだった。「お父さんは力持ちだった」と聞かされると、「僕も力持ちだよ」と言って買い物袋を持った。夫の病死後に勤め始めた会社が忙しく、割引のお総菜が多い食卓で、たまにチャーハンや焼きそばを作ると、「すっごいおいしい」と喜んだ。初めて焼き肉店で食べ放題を注文した時は「こんなのあるんだ」とはしゃいだ。

 学習塾やサッカー教室にも通った。「次はスイミングに行きたい」とねだった。「一生懸命仕事しなくちゃ」とうれしかった。疲れると「足の裏踏んであげる」と、小さな足でマッサージしてくれた。

 ◇現場では泣かないと決めた

現場に立ち、薄暗くなる中でナンバーを書き取り続ける母=2010年5月21日、平川昌範撮影<a href="http://video.mainichi.co.jp/viewvideo.jspx?Movie=48227968/48227968peevee311066.flv">◇関連動画はこちら◇</a>
現場に立ち、薄暗くなる中でナンバーを書き取り続ける母=2010年5月21日、平川昌範撮影◇関連動画はこちら◇

 事故の日、仕事帰りに孝徳君を迎えに行くつもりで、書道教室に電話をかけた。「さっき帰りました」と言われた。その後はよく覚えていない。病院で警察官から「亡くなりました」と告げられた。

最新写真特集

毎日新聞社のご案内

TAP-i

TAP-i
ニュースを、さわろう。

毎日新聞Androidアプリ

毎日新聞Androidアプリ

MOTTAINAI

MOTTAINAIキャンペーン

まいまいクラブ

まいまいクラブ

毎日RT

毎日RT

毎日ウィークリー

毎日ウィークリー

Tポイントサービス

Tポイントサービス

毎日jp×Firefox

毎日jp×Firefox

毎日新聞のソーシャルアカウント

毎日新聞の
ソーシャルアカウント

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞社の本と雑誌

毎日新聞社の本と雑誌

サンデー毎日

サンデー毎日

毎日新聞のCM

毎日新聞のCM