裁判員:再審無罪の赤堀さん辞退「司法制度に不信感」
毎日新聞 2012年11月16日 07時36分
「島田事件」で死刑判決を受け、その後再審で無罪が確定した赤堀政夫さん(83)=名古屋市南区=が15日、裁判員候補者に選ばれて辞退したことを明らかにした。赤堀さんは記者会見で「誤判が多い司法制度への不信感があるため断った」と話した。
赤堀さんと支援者によると、11年末に名古屋地裁の裁判員候補者名簿に載ったことが通知され、今年10月に覚せい剤取締法違反事件の裁判員裁判の選任手続きで地裁へ来るよう連絡があった。赤堀さんは辞退を申し立て、認められたという。
赤堀さんは、冤罪(えんざい)事件がある▽取り調べの全面可視化が実現していない▽証拠の全面開示がない−−などの司法制度の問題点を挙げ「35年も冤罪に苦しんだ私が人を裁く側には立てない」とも述べた。
1954年に静岡県島田市で6歳の幼女が殺害された「島田事件」で容疑者とされた赤堀さんは、60年に最高裁で死刑判決が確定。4回の再審請求の末、89年に無罪判決を受けた。【山口知】