流山のパート社員殺人:被告「殺害供述は誘導」 取り調べ映像と矛盾も−−裁判員裁判 /千葉
毎日新聞 2012年11月14日 地方版
97年に流山市の会社員、田島由美さん(当時24歳)が自宅で殺害され、県警が親族を誤認逮捕した事件で、真犯人として強盗殺人罪などの罪に問われた当時17歳の男(33)の裁判員裁判は13日、千葉地裁(斉藤啓昭裁判長)で2日目の審理があり、被告人質問などが行われた。
男は12日の初公判で、強盗強姦(ごうかん)罪などを認めた半面、逮捕時には認めていた殺害について否認。弁護側、検察側双方が殺害行為を巡り、質問を繰り返した。
弁護側は、男が別の事件で受刑中だった今年1月、県警から任意で事情聴取されて殺害行為を認めた理由について質問。男は「(警察官に)『否認してると長くなるぞ』と言われ、やってないと説明できず、刑事さんたちに合わせた」と述べ、供述を誘導されたと主張し、さらに「弁護士を呼んでほしいと言ったが断られた」「取り調べの部屋から出ようとしたが制止された」などと訴えた。検察側が当時、検察官や担当弁護士に対しても殺害を否定しなかった点を指摘すると、男は「誰も信じてくれないという気持ちが強かった」と弁解した。
一方、検察側は男に対する任意取り調べを録音録画したDVDを証拠として提出。男の調書を検察官が読み上げ、確認する場面などを約40分間、裁判官や裁判員の手元のモニターで再生した。音声は傍聴席からも聞こえた。
DVDの再生では、検察官が「女性が逃げると思い腰を刺し、タオルを首に巻き付けて刺しました」「罪を償うため死刑も受け入れる」などと読み、「(書かれた内容に)覚えのないことがあるか」と尋ねると、男は「ない」と返答。さらに「刑が重くなるのが怖くて言えなかった」「やってしまったことは頭から消せない」と打ち明ける様子も流れた。【黒川晋史、小林祥晃】