最後の中野形染工場作「籠染め」
- 2008.08.19 Tuesday
- 21:37
6月に「伝統浴衣消滅危機」と題し
書かせていただいたhttp://2daime.kimono-sakaeya.com/?eid=889891こちらのブログ。
我が県、埼玉の草加にある中野形染工場さんだけの「籠染め」の終焉。
この悲しい出来事がテレビでも放映されたそうで、反響をいただきました。
呉服業界にかかわるものとして、また地元埼玉の工芸品を知っていただきたいと思い、
私の知る限りにおいて「籠染め」を説明をさせてください。
(弊店で唯一まだ残っている女性物反物の籠染め「竺仙:2万5千円」)
ご存知のとおり、浴衣が今の形となったのは江戸時代。
国内で綿が生産始まったのと、大衆文化が花開いた時期が合致し、
着心地と色付けのしやすい「綿の浴衣帷子」(ゆかた)は江戸時代ブームとなります。
当初は白(綿の生地の色)に藍で模様付けがほとんどでした。
さあここで、
頭でイメージしてください。
「生地の片面だけ模様をつけ、裏面は真っ白のまま。」
「生地の両面ぴったりと同じ模様をつける。」
どちらがはっきりと模様が浮かび上がるでしょう?
もちろん後者ですよね!
江戸っ子は、模様が美しく出るようにと、
浴衣の両面にぴったり糊をつけた同じ型をはり、
藍の色を乗せました。(糊のついた部分には藍が入らないので、模様となります)
着物を着る方はわかると思うのですが、
着物は裾がひらひらと裏返るもの。
その裏に模様がないのも、いけてない!ですよね?
それもあって「浴衣は両面柄!」が当たり前となりました。
江戸の人たちは、手間だからといって、手抜きをしない、本当の審美眼を持っている!!
そして時代は明治へ・・・いわゆる産業革命が日本に訪れます。
もっと手間をかけず両面に模様をつけられる方法はないか?
日本人は考え、今の「注染染め」という形が生まれます。
(弊店で扱う浴衣のほとんどがこの「注染染め」の技法をつかっております。
今回はこの説明は文章が長すぎる!とブログをチェックしてくれている兄に怒られたので次回にさせていただきたいと思います)
この時期にも片面だけ模様をつけたらいい!なんて、手抜きのことを考える日本人はいなかったんですね〜
昔の人は偉い!
そして、どんどん日本人は考えます。
両面色をつけるなら、リバーシブルにしたっていいんじゃない?
そこで生み出されたのが、以下の銅版を使って模様付けをする「籠染め」。
(この銅版が籠に似ていることから名づけられました。私なんかは「銅版染め」と先に教えられました)
二つの銅版の間に生地を挟み模様をつけていきます。
もともとは同じ模様をつけていたそうですが、この銅版の特性を生かし、今ではほとんどがリバーシブルに。
単にリバーシブルにするのではなく、
表に裏の模様が映らないように、
裏に表の模様が映らないようにと、
かなり込み入った模様が入っているのが特徴かと私は思っています。
(ちどりに縞模様の表・波模様の裏。 ちどりの表地で、ちらちらと裾がめくれて、波が見えるなんて、なんて粋!!と、思わず仕入れた逸品)
そして画期的なことは!
私はこの籠染めで「縞模様」が浴衣に生まれたこと!だと思います。
「注染染め」の技法では縞模様は困難なんのです。
(理由は「注染染め」のことを書いたときにご説明させてください)
しかし銅版はその性質上、縞模様が得意。
だから私がお奨めする籠染めは縞模様!です。
でも、弊店ではこの残すところ一点限りになっちゃったのですが・・・
もうひとつ大変素敵な「綿芭蕉」を織り込んだ籠染めがあったのですが、
市場に出回る最後の1点なのに、正直に弊店は昔どおりの2万7千円のプライスをつけたところ、すぐにお嫁に行きました。
(呉服業界では、商品の値段はお店が決められ、希少価値があれば、もっとプラスされるのが通常です。)
今回も次男M氏に「おまえのブログ長すぎるよ〜」と、怒られそうですが、
書くならば私なりのメッセージを記したいと思うので、もう少し続けます。
今回の件で、二代目の考えたこと・・・
「昔の人は手間だからという考えではなく、
一番美しいものを考え、それを生産していた。
(今よりもっと文化的な生活であったのでしょうね・・・)
それなのに、今は片面だけ染めたり、
気候や歴史が違う他国で生産して、
「美しい」と言えない浴衣や着物が出回っている。
そして、それを買う人がいるのがもっと悲しい!
浴衣・着物は日本のみが持つすばらしい文化だ。
ぜひ本物(歴史に裏打ちされたもの)とは何か?
というものを知ってもらいたい。
そして、このような絶滅危惧の伝統技法はまだまだあり、
できるかぎり救っていけたらと思う。
経済産業省が「地域産業として成り立つもの」としてもののみを今はサポートしている。
(文化省の「文化財」についての考え方は現在解読中)
中野さんの例は、もうすでに全国でこの1つの工場のみの残す技法のため、
「地域産業として成りたっていない」と、サポートの中には入れてもらえないと思われます。
さあ、皆さんだったらどうアクションをしたらいいと思います。
私もまだ答えが見つからないでいます。
ぜひ意見をいただければ幸いです。
書かせていただいたhttp://2daime.kimono-sakaeya.com/?eid=889891こちらのブログ。
我が県、埼玉の草加にある中野形染工場さんだけの「籠染め」の終焉。
この悲しい出来事がテレビでも放映されたそうで、反響をいただきました。
呉服業界にかかわるものとして、また地元埼玉の工芸品を知っていただきたいと思い、
私の知る限りにおいて「籠染め」を説明をさせてください。
(弊店で唯一まだ残っている女性物反物の籠染め「竺仙:2万5千円」)
ご存知のとおり、浴衣が今の形となったのは江戸時代。
国内で綿が生産始まったのと、大衆文化が花開いた時期が合致し、
着心地と色付けのしやすい「綿の浴衣帷子」(ゆかた)は江戸時代ブームとなります。
当初は白(綿の生地の色)に藍で模様付けがほとんどでした。
さあここで、
頭でイメージしてください。
「生地の片面だけ模様をつけ、裏面は真っ白のまま。」
「生地の両面ぴったりと同じ模様をつける。」
どちらがはっきりと模様が浮かび上がるでしょう?
もちろん後者ですよね!
江戸っ子は、模様が美しく出るようにと、
浴衣の両面にぴったり糊をつけた同じ型をはり、
藍の色を乗せました。(糊のついた部分には藍が入らないので、模様となります)
着物を着る方はわかると思うのですが、
着物は裾がひらひらと裏返るもの。
その裏に模様がないのも、いけてない!ですよね?
それもあって「浴衣は両面柄!」が当たり前となりました。
江戸の人たちは、手間だからといって、手抜きをしない、本当の審美眼を持っている!!
そして時代は明治へ・・・いわゆる産業革命が日本に訪れます。
もっと手間をかけず両面に模様をつけられる方法はないか?
日本人は考え、今の「注染染め」という形が生まれます。
(弊店で扱う浴衣のほとんどがこの「注染染め」の技法をつかっております。
今回はこの説明は文章が長すぎる!とブログをチェックしてくれている兄に怒られたので次回にさせていただきたいと思います)
この時期にも片面だけ模様をつけたらいい!なんて、手抜きのことを考える日本人はいなかったんですね〜
昔の人は偉い!
そして、どんどん日本人は考えます。
両面色をつけるなら、リバーシブルにしたっていいんじゃない?
そこで生み出されたのが、以下の銅版を使って模様付けをする「籠染め」。
(この銅版が籠に似ていることから名づけられました。私なんかは「銅版染め」と先に教えられました)
二つの銅版の間に生地を挟み模様をつけていきます。
もともとは同じ模様をつけていたそうですが、この銅版の特性を生かし、今ではほとんどがリバーシブルに。
単にリバーシブルにするのではなく、
表に裏の模様が映らないように、
裏に表の模様が映らないようにと、
かなり込み入った模様が入っているのが特徴かと私は思っています。
(ちどりに縞模様の表・波模様の裏。 ちどりの表地で、ちらちらと裾がめくれて、波が見えるなんて、なんて粋!!と、思わず仕入れた逸品)
そして画期的なことは!
私はこの籠染めで「縞模様」が浴衣に生まれたこと!だと思います。
「注染染め」の技法では縞模様は困難なんのです。
(理由は「注染染め」のことを書いたときにご説明させてください)
しかし銅版はその性質上、縞模様が得意。
だから私がお奨めする籠染めは縞模様!です。
でも、弊店ではこの残すところ一点限りになっちゃったのですが・・・
もうひとつ大変素敵な「綿芭蕉」を織り込んだ籠染めがあったのですが、
市場に出回る最後の1点なのに、正直に弊店は昔どおりの2万7千円のプライスをつけたところ、すぐにお嫁に行きました。
(呉服業界では、商品の値段はお店が決められ、希少価値があれば、もっとプラスされるのが通常です。)
今回も次男M氏に「おまえのブログ長すぎるよ〜」と、怒られそうですが、
書くならば私なりのメッセージを記したいと思うので、もう少し続けます。
今回の件で、二代目の考えたこと・・・
「昔の人は手間だからという考えではなく、
一番美しいものを考え、それを生産していた。
(今よりもっと文化的な生活であったのでしょうね・・・)
それなのに、今は片面だけ染めたり、
気候や歴史が違う他国で生産して、
「美しい」と言えない浴衣や着物が出回っている。
そして、それを買う人がいるのがもっと悲しい!
浴衣・着物は日本のみが持つすばらしい文化だ。
ぜひ本物(歴史に裏打ちされたもの)とは何か?
というものを知ってもらいたい。
そして、このような絶滅危惧の伝統技法はまだまだあり、
できるかぎり救っていけたらと思う。
経済産業省が「地域産業として成り立つもの」としてもののみを今はサポートしている。
(文化省の「文化財」についての考え方は現在解読中)
中野さんの例は、もうすでに全国でこの1つの工場のみの残す技法のため、
「地域産業として成りたっていない」と、サポートの中には入れてもらえないと思われます。
さあ、皆さんだったらどうアクションをしたらいいと思います。
私もまだ答えが見つからないでいます。
ぜひ意見をいただければ幸いです。
長くても、全然大丈夫です(笑)☆
それにしても、こちらの反物も、素敵です!!
千鳥のかわいらしさに加えて、チラリと見え隠れする波の模様がしびれちゃいますね!!
経済産業省よりも、文化省のサポートのほうが性質に合っている気がします。
アクション、難しい問題ですね。。
時代の流れで生活様式が変化していっても、このような伝統は守るべきものだと思います。
私もブログを書いています。私のつたない文章ですが、こちらの記事を紹介させていただきたいのですが、よろしいでしょうか?
私もキモノ好きで先月からブログを始めました。
「籠染め」、聞いたことはあったのですが先日のニュースを
見て、びっくりしました。そして悲しく、切ない気持ちに。
日本独自の文化、着物。全国の産地組合では後継者不足や
その他多くの課題を抱えています。組合へ足を運び、
様々なことを学んだ身には、また一つ灯りが消えたようで
淋しいとしか言いようがありません。
今ある染め織りのキモノ文化を次の世代へ繋げるため、
少しずつ活動しています。
お時間のあるときにでも私の拙いブログを覗いて見てください。
(私も切れの良い文章が書けず、毎回悩んでいます。。。)
そういっていただけると光栄です。
私の文章でよろしければ、いくらでも引用してください!
こはるさんがどう表現されるか私も楽しみにしています(^^)
私が今思うのは、
文化省に任せるとなると、もう生きた文化ではなく、伝統になるような気がします。
そして庶民のものから、天皇家向け、超高級品になっていくような・・・
人間国宝の認定をなんたって文化省はしているので・・・
この件については、今ぜひ皆さんに聞いていただきたい渡しの考えがまとまりつつあるので、もう少しお時間を頂戴して、発表させていただいてもよろしいでしょうか?
でもこのように闊達にご意見を頂戴でき、私はとても励まされます!
素敵なブログですね〜写真もきれいだし、とても関心させられました。それに毎日更新されているんですね。尊敬します。
今ある染め織りのキモノ文化を次の世代へ繋げられるというのは、具体的にどんな活動なのでしょうか?
私も未熟者ですが何かお役になればうれしいです。
私のブログ、ご覧になったのですね。
キモノは長いです(笑)。色んな意味で。。。
今は表立ったことは避けていますので、もしよろしければ
私のブログの「オーナーへのメッセージ」でお話しませんか。
決して怪しい者ではありませんので、ご安心を(笑)。
ありがとうございます。
なかなか私もコンピューターが不得手のため、
ほかの方にメッセージを送ることはないんですよ。
よかったらまたこうやって意見を交換できればうれしいです。
ご提案を本当にありがとうございました。