人間なのだから、病気や故障だというのなら、どんなこともあり得るだろう。だが、そんなことが全く伝えられていない中で、横綱の3連敗という話は聞いたことがない。
しかも、背景には、新横綱であるだけに、様々な話が提灯さながらに昇進を飾り立てた記憶がまだ新しいものとして残っている。それだけにこの3連敗は人々を驚かせる要素になった。方々から待望された新横綱の登場だったが、こうなってみると、昇進が早すぎたのだという問題が当然出てくるだろう。
私は初日に、新しき者が挑戦する課題として新横綱に贈る言葉を書いたが、まさにその通りになったようだ。
今にして考えてみると、本人はもちろんのこと、周囲も少々甘く見すぎていたような気がする。
しかし、そのことを批判するだけが私の意図するところではない。せっかく新しい横綱その他で相撲ファンを引き戻しつつあるところなのだから、意欲的に考えなければいけないと私は思う。
13日目まで書き忘れてはならないことは、松鳳山に代表されるような新しき力の芽生えだろう。
十両の栃乃若と佐田の富士の健闘は称賛に値すると思う。これこそ新しき波の始まりになることを祈る。 (作家)
この記事を印刷する