愛知県豊川市の豊川信用金庫蔵子(ぞうし)支店の立てこもり事件で、県警がマスコミ各社に現場の生中継などの自粛を求めた後も、動画サイト「ニコニコ動画」は生中継をしていた。人質の安全確保を理由に県警記者クラブに自粛要請があったが、ニコニコ動画はクラブ非加盟のため伝わるのが遅れた。要請を知った後は生中継を一時中断した。インターネットメディアが登場するなどメディアが多様化する中で、捜査当局は新たな対応を迫られている。
【ニュースの一報】立てこもり 愛知県豊川市の信用金庫に男 人質取る
ニコニコ動画は、事件発生から約5時間半後の22日午後7時45分ごろから同支店付近の生中継を開始。報道関係者が待機していた同支店近くの集合住宅敷地内から、同支店の外観や取り巻く警察関係者の様子などを配信していた。
中継を中断したのは23日午前0時半ごろ。画面やツイッターで「犯人を刺激するおそれがあるため、生中継中止の要請がありました」と説明した。容疑者の身柄を確保した同日午前3時過ぎに中継を再開した。
この事件では、長久保浩二容疑者(32)=人質強要処罰法違反などの容疑で送検=が籠城(ろうじょう)中に、支店内のテレビでニュースを見ていることが判明。県警本部からは、毎日新聞やテレビ局など14社が加盟する愛知県警記者クラブに、捜査員などの動きが長久保容疑者に悟られないよう、22日午後7時以降は、容疑者確保まで現場の生中継やインターネットへの写真掲載を自粛するよう要請があった。
県警は、この件について、公式なコメントは出していない。【加藤潔、安達一正】