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秋田新幹線、1年だけ「スーパーこまち」
2012年11月23日
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JR東日本新幹線総合車両センターで22日、報道陣に公開された新型車両「スーパーこまち」=宮城県利府町、日吉健吾撮影 |
【大久保貴裕】来春から秋田新幹線に仲間入りする新型車両「E6系」の名前が「スーパーこまち」に決まった。新型車両の愛称は通常、公募してデビューの1年ほど前に決まる。その後、観光キャンペーンなどで名前を売り込んでいくが、今回は公募をしないうえ、走行の4カ月前になっても決まらず、関係者をヤキモキさせていた。そして決まったのが「スーパーこまち」。なぜ、この愛称になったのか――。
鮮やかなあかね色の新型車両の愛称は? 「おばこ」「たざわ」など、さまざまな名前が言われた。中でも街で「有力視」されたのが「なまはげ」だった。
秋田市内で昨年11月に車両が公開された時は、子どもが「E6系」を見ながら「『なまはげ』になるんでしょ」と話す姿も。ある県幹部も発表前、「誰もがすぐに秋田と分かる名前は『なまはげ』しかない」と話していた。15年前の開通時の愛称公募でも「なまはげ」は上位だった。
今回は公募もなく、導入4カ月前になっても公表されなかっただけに余計に「どんな名前に」と期待が高まった。そして発表されたのが「スーパーこまち」。肩すかしを食った鉄道ファンや、観光関係者も多かった。
「E6系」は、東京―秋田間を「こまち」より最大5分短縮し、最速3時間45分で結ぶ。料金は500円高い、片道1万7310円になる。
今月6日の愛称発表。JRは「『こまち』の名前は知名度があり浸透している」とした上で、「料金や時間が違うのに同じ『こまち』だと混乱を招く」と説明。現在の旧型「こまち」と区別できるよう「スーパー」をつけることで落ち着いたという。
しかし、もう一つ、大きな理由があった。
実は、現在の旧型「こまち」が、わずか1年で姿を消してしまうからだ。
秋田新幹線では当面、新型「スーパーこまち」と、旧型「こまち」が混在して走る。JRは、旧型「こまち」の車両を、段階的に新型車両に置き換えていく方針で、2014年春には、秋田新幹線の全列車が新型車両になる。
もし新型に全く別の愛称を付けると、親しまれている「こまち」の名前が、置き換えが完了する14年春、完全に消えてしまう。それを防ぐため、新型には全く異なる愛称ではなく、あくまでも一時的に「スーパー」を付けたのだ。
このため、「スーパーこまち」は、デビュー1年で卒業。「スーパー」を付けて区別する必要がなくなる14年春にはもとの「こまち」になる予定だ。JR東日本秋田支社の浅見郁樹支社長も「車両の置き換えが整った時には、『こまち』にする」と述べた。
開業時から秋田新幹線の写真を撮り続ける鉄道写真家の佐藤和博さん(62)=秋田市=は「『スーパー』をつけたのは、『こまち』を残すためにとても良い選択だった。『こまち』なしの秋田新幹線はありえません」と話した。
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