私たちは日々、おびただしい数の写真を目にしているが、一枚の写真をじっくりと見ることはめったにないだろう。しかし、時に一見何の変哲もないつまらない写真にも、驚愕の事実が隠されているのを発見することがある。
1.独裁者を発見
この写真の中で特徴的なことは何かと訊かれたら、みんなが同じ帽子をかぶっていることと答えるかもしれない。だが、ここには歴史的に重要なことが隠されている。この写真が撮られたのは、1914年8月2日。場所はミュンヘンのオーデンズプラッツ。第一次世界大戦の開戦に、ドイツの群集が沸いている場面だ。この時点では、ナチやホロコーストという言葉は、ドイツ国民は知る由もなかったが、群集の中にこの国を待ち受ける恐ろしい運命の兆しが見えるのだ。丸で囲んだあたりをよく見ると、ひとりの男に気づくはずだ。
そう、若干26歳のアドルフ・ヒットラーが写っているのだ。開戦の知らせに喜んでいるようにも見える。この20年後、彼は独裁者となって、世界は悲惨な戦争に巻き込まれていくこととなる。
この写真は、ハインリッヒ・ホフマンが撮った。彼はのちにヒットラーのお抱えカメラマンになった。1932年、ヒットラーはホフマンの暗室を訪ね、1914年のオーデンプラッツの群集の中にいたことにふれ、ホフマンがネガを調べると、確かに未来の総統の姿が写っていた。
チャーリー・チャップリンに似ていないこともないが、やはり総統にそっくりだ。しかし、最近のドイツの歴史家たちは、この写真の真偽に疑問を呈している。ホフマンが自分のボスの愛国心を問題視する批判を封じ込めようと、写真を捏造した可能性があるというのだ。
2.戦車男
ふたりの男が公園を走っているなんのことはない写真。だが、その背後をよく見ると、ふたつ奇妙なものが目につく。ひとつはもちろん、右端から複数の戦車が近づいてきていることだ。
走っているふたりの男たちはジョギングしているわけではなく、戦車から逃げているのだ。もうひとつは、左手後方の木の間に見えるひとりの男。彼は、1989年の天安門事件の有名な写真の男なのだ。このすぐ後に彼は、買い物袋を持ったまま通りの真ん中に立ち、抵抗する庶民を蹴散らすために出動した戦車の列の前に陣取って、しばらくの間、その進行を止めたのだ。
彼は通りを横切っていて、たまたま戦車に出くわしたわけではない。遠くから戦車が向かって来るのは見えていたはずで、この正体不明の男が意図的に戦車の進行をブロックした行動が衝撃的なのだ。
3.またしても独裁者発見
一見、ごくごく普通の学校での集合写真。だが、無邪気な顔をした若者たちのひとりは悪名高い有名人だ。赤い円で囲ってあるこの人物が、現在どんな立場にいるのか、この写真からはとても想像できない。この写真はわりと最近撮られたものだし、ただ幸せな子供たちが楽しんでいるようにしか見えない。この人物は、北朝鮮共産主義体制の現在の“親愛なる指導者”金正恩だ。
十代の頃、彼はスイスの学校に行っていた。1996年から2001年まで、そこで勉強し、彼の正体を知らないクラスメイトたちと友だちになった。2001年、パク・ウンとして知られていた彼は、ある日突然学校に来なくなった。それから10年後、当時の指導者、金正日が亡くなり、その後継者が判明するまで、友人たちは彼の姿を見ることはなかった。次のクラス会は、気まずいものになるに違いない。
4.JFK暗殺の日 ビル・パクストンカメオ出演
この写真のすべての女性たち(男性もいるが)のうっとりした表情から、彼女たちがジョン・F・ケネディ大統領を見つめているのがわかる。これは1963年11月22日、大統領がテキサス州フォートワースでスピーチをし、その後狙撃されて殺されたまさにその日に撮られたものだ。
ここに隠れている衝撃事実は何だろう? リー・ハーヴェイ・オズワルドが窓から手を振っている? イルミナティがいる? いやいや、後方の幼い少年にご注目。どこか見覚えがないだろうか? 『エイリアン』や『ツイスター』、『アポロ13』、『タイタニック』などの映画を観ていたら、すぐにピンとくるはずだ。この少年は、8歳のビル・パクストンの姿なのだから。ビルは誰かにあの日のアリバイを訊ねられた時のために、自分の写真を何枚か持っている。
5.ワシントンの口の秘密
ジョージ・ワシントンのこの未完成の肖像画は、すべてのアメリカドル札に印刷されている。だが、その口元をじっくりとながめてみたことはあるだろうか?やけに大きすぎるように見えないだろうか? まるで冬に備えてナッツをほおばるリスのようではないか。ご存知の方も多いと思うが、ワシントンは歯がなくて、入れ歯をはめていた。しかし、他の有名な肖像画ではそれほど口が膨らんでいるようには見えない。
ワシントンがお札に印刷される肖像画を描いてもらった日、たまたまいつも使っていた入れ歯が壊れてしまって、スペアのものを装着してたのだ。医者への手紙の中で、ワシントンは急いで入れ歯を直して欲しいと頼んでいる。スペアの方はフィットしないし、口が相当膨らんで見えるからというのがその理由だった。
ワシントンが、合わない入れ歯の拷問に耐えつつ、画家ギルバート・スチュアートの前で何時間もじっとしているはめになったのは、妻のマーサが勝手に肖像画を依頼してしまったからだ。しかし、結局その努力も無駄になった。スチュワートがわざと絵を未完のままにして抱え込み、複製を売って儲けようとたくらんだのだ。
というわけで、この絵は未完にもかかわらず、とても有名になり、私たちはアメリカ初代大統領は、実際よりかなり口が大きいと思う結果になった。
6.人物が写っている初めての写真
19世紀前半の古い写真はすべて、通りにいつも人がいないのに気がついていただろうか? まるで『アイ・アム・レジェンド』か何かの映画のセットのような写真ばかりだった。というのも、当時の写真機は一枚の写真を撮るのに10分もかかり、大変な苦労だったからだ。人々は魂を抜くという奇妙な機械の前に、そんなに長くじっとしているのを嫌がった。だから19世紀後半になるまで、実際に人が写っている写真はほとんどなかったのだ。
しかし、上記の1838年の写真には、靴を磨いてもらっているひとりの男が通りにいるのが見える。この写真を撮ったのは、ルイ・ダゲール。まさか、170年後にインターネット上で「人物を撮った最初の写真だ。」と指摘されて注目を浴びるとは思いもよらなかっただろう。写真をカラー化して、より鮮明にしたものも出回っている。
初めて写真に撮られた記念すべきこの影のような人物は、もちろん誰だかわからない。靴磨きにいくら払ったのだろう? 写真を撮られたとき、どんな顔をしていたのだろう?残念ながら知る由もない。
7.初めて初めてカメラに向かって中指を立てた人物
1886年の野球チームの写真は、古い時代の写真なので、スタジアムにいる男たちがみんなシルクハットを被っていて、24人ほどいる選手たちがみんな髭をはやしている。しかし、一番後ろの左端の男は特別だ。よく見てみると、手で何か示しているのだ。
彼は伝説のピッチャー、通称Old Hoss(古馬)・チャールズ・ラドボーン。初めてカメラに向かって中指を立てた人物だ。昔の写真に、現代にするようなこんなジェスチャーで写っている人物は誰もいない。ラドボーンは1880年代にとても人気のあった選手で、メジャーリーグでシーズンに60勝した唯一のピッチャーだ。彼は自分のベースボールカードを持っていた。
その写真の彼は・・・・よく見るとあろうことか、またしてもカメラに向かって中指を立てている。たぶん彼の指は硬直していたのかもしれない。ニックネームのCharley Hossが、Charley Horse(こむらがえりの意)という言葉からきていると考えれば、それもうなずける。
8.豪胆なドイツ人
ナチス時代のドイツ国民全員が、すべて狂信者だと思うのはたやすい。一般人の群集が一斉にナチ式敬礼をしているこんな写真を見たら、そういう見方を否定するのは難しいだろう。この写真は1936年、ドイツ軍の戦艦が進水した時のセレモニーの様子を撮ったもので、アドルフ・ヒットラー自身も出席していた。ここにいる全員がジークハイルを叫んで、永遠に総統を支持する勢いだ。だが、実は、全員ではない。
よく見てみると、この丸印の男は敬礼をしていないばかりでなく、退屈そうな無関心な表情をしている。こんな場において殺されかねない態度だ。考えてもみて欲しい。今日でさえ、敵方のホッケーチームの目の前で、ひとり違うチームのジャージを着ていたら、ボコボコにされてしまう。
この男は、文字どおりナチス一色の群集のど真ん中において、ひとり浮いていて、見る者に、彼はヒットラーを侮辱するためにこのセレモニーに参加しているのかもしれないと思わせる。
男の名はオーガスト・ランドメッサー。この写真が撮られてすぐに、彼は当時違法だったユダヤ人の血が混じっている女性と結婚しようとして逮捕された。ランドメッサーも妻も戦争中に亡くなったが、ふたりいた娘のひとりが、1991年にこの写真の父親に気づき、その肝っ玉の太さを世界と共有した。
via:Cracked.com
原文翻訳:konohazuku
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コメント一覧
1.
2. 匿名処理班
ランドメッサー氏すげー
3. 匿名処理班
一番最後、かっこいいな。
結果が結果なら向う見ずな馬鹿といわれたのだろうが。
4. 名無し
面白い
5. 匿名処理班
6. 匿名処理班
これは久しぶりにじっくり読んで面白い記事でした
7. 匿名処理班
おおなんかすごい
群衆の中のたった一人の表情と行動が、世界的に有名になる行動の前哨戦だったなんてかっこいいな
8. 匿名処理班
ナチスを叩きすぎだろ