現職の検事が女性の容疑者を脅して性的関係を持ち、問題になることを恐れて懐柔しようとしていた疑いが浮上し、大検察庁(最高検察庁に相当)が調査に乗り出した。
大検察庁の監察本部によると、ソウル東部地検で実務修習中のA検事(30)は今月10日の土曜日、常習窃盗容疑で書類送検されたB容疑者(43)=女性=を「事情聴取したい」として検事室に呼び出し、わいせつな行為をしたという。A検事は数日後、検察庁の外でB容疑者と会い、ホテルで性的関係を持った。今年初めにロースクール(法科大学院)を卒業したA検事は、光州地検木浦支庁の検事として発令を受け、ソウル東部地検で2カ月間の実務研修を受けていた。
こうした事実は、B容疑者の弁護士の陳情により発覚した。同弁護士は20日、ソウル東部地検の関係者に電話をかけ「A検事と私の依頼人のB容疑者が不適切な関係を持ったようだ」と伝え、事実関係の確認を求めた。同弁護士が本紙の電話取材で語ったところによると、A検事は事情聴取で「あなたを起訴せざるを得ない。起訴されれば懲役刑は確実だ」などと話し、B容疑者を脅していたという。
A検事はソウル東部地検の調査に対し、2回にわたりわいせつな行為をしたことを認めた。「容疑者を脅迫したり『不起訴にしてやる』などと条件を出したりしたことはなく、合意の上だった。検事室では性行為をしておらず、数日後に性的関係を持った」と釈明したとのことだ。地検は調査結果を大検察庁監察本部に報告した。
だが、弁護士によると、A検事は20日以降に再びB容疑者と会い「今回のことを法的に問題視せず、外部に漏らさない」という内容の合意書を作成したという。
B容疑者は、今回の事件でまだ検察の事情聴取を受けていない。大検察庁監察本部は近くB容疑者を呼び、A検事が性的関係を強要したかどうか、事件が問題になるのを恐れて「合意」を迫ったかどうかなどを調べる予定だ。
A検事が性的関係を強要し、これを問題視しないという合意を迫ったことが明らかになれば、B容疑者との合意の有無にかかわらず、刑事処罰の対象となり得る。監察本部の関係者は「ひとまず監察を行い、状況に応じて捜査に切り替える可能性もある」と話している。
監察本部はA検事に対する監察と併せ、ソウル東部地検長をはじめとする同地検関係者の監督責任についても監察を行い、必要に応じて懲戒処分を下す方針だ。