【小山田研慈】JA(農協)バンクグループの農林中央金庫の河野良雄理事長は22日の決算会見で、戸別所得補償制度の対象になっている農家の9割以上がJAバンクの口座を振込先に指定していたことを明らかにした。民主党の目玉政策のひとつだったが、当初の狙いとは逆に、自民党の有力な支持団体であるJAを支える結果になった。
この制度では2010年度、116万件の農家に約5千億円が支払われた。民主党は制度の導入前、政府から農家に支払われるお金はJAバンクの口座に振り込まれないようにして、自民党を支持するJAの力を弱めようとした。だが、政府内には慎重論もあり、JAバンクに振り込めないようにすることができなかった。結局、農家の多くが口座をもつJAバンクにお金が集まったとみられる。
河野理事長は「振り込み口座をJAにしてもらいたいと(農家などに)かなり強い運動をした。数千億円のお金がJAに入ってくるので大きな財源になっている」と語った。JAバンクグループの貯金残高は12月末には90兆円を超え、数年後には100兆円になりそうだという。