ソウル高検の部長検事が10億ウォン(約7600万円)前後の賄賂を受け取ったとして逮捕されたのに続き、今回は検事が取り調べ対象の女性容疑者と検事室で性的な接触を持ったという疑惑が浮上した。疑惑は、ソウル東部地検の検事が窃盗の疑いで取り調べを行っていた40代女性を週末に検事室に呼び出し、不起訴処分にしてやると持ち掛け、擬似性行為に及んだとの内容で、告訴を受けた大検察庁(最高検に相当)が真相究明に乗り出した。問題の検事は後日、退勤後に問題の女性とモーテルで性的関係を結んだという。検事が女性容疑者を検事室に呼び出した日にはほかの職員は出勤しておらず、検事と容疑者の二人きりだった。検事は30代前半で、今年初めに法学専門大学院(ロースクール)を卒業し、検事として発令を受け、実務修習を行っていた。
いくら自分が犯した罪について、どの機関による捜査も受けない特権があるとはいっても、検事が取り調べ対象の女性容疑者を検事室に呼び出して性的接触を持つなどと考えることがあり得ようか。検事が不起訴を持ち掛け、容疑者と性的関係を結んだとすれば、国民の委任を受けた起訴権を武器に性的な接待を受けたのと同様だ。問題の検事は不起訴を条件に性的関係を結んだのではなく、合意による性関係だったと主張したという。たとえそうだとしても、検事が容疑者と検事室で性行為に及ぶこと自体、検事の倫理意識は言うまでもなく、基本的な物事の分別も付かない証拠だ。
昨年には女性検事が弁護士と不適切な関係を結び、弁護士から事件をうまく処理してほしいとの依頼と共に高級車を贈られた事件が明るみに出た。2010年には部長検事が後輩検事に対し、建設業者が告訴された事件を大目に見るように圧力をかけ、建設業者から高級車を受け取った事件が起きた。検事が捜査対象から賄賂を受け取ったり、検事室で性的接触を持ったりする現状は、検事社会の綱紀が緩みきっていることを示している。
検察に対する国民の信頼は落ちるところまで落ちた。そんな状況下で現職検察幹部が10億ウォンの賄賂を受け取っただけで飽き足らず、性的なスキャンダルまで浮上するとは、この国の検察はいったいどこまで転落するのだろうか。