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【栃木】市長選終えて整備加速 LRT導入効果は?十八日に投開票された宇都宮市長選では、市内の東西を結ぶ基幹公共交通に次世代型路面電車(LRT)を導入する是非が争点に挙がった。導入を訴えた佐藤栄一市長が三選し、整備へ向けた流れは加速することになる。LRTを柱にした公共交通とは何か。あらためてまとめた。 (磯谷佳宏) Q 市内の交通事情に、現在どんな問題があるの。 A 市民からは「朝夕の渋滞がひどく、通勤や通学などの移動が大変」「バスが遅れて困る」などの声がある。「時間通りに移動できる公共交通を整備してほしい」との要望もある。 Q そもそも「LRT」とは。 A 専用のレールを走行する路面電車。渋滞などに左右されず、正確な時間で運行され、輸送効率の高い乗り物としても知られる。既存の鉄道路線への乗り入れができ、低床式車両のため、車いすの利用者や高齢者も乗降しやすい。 Q でも、反対の声があるのはなぜ。 A バスを利用する人の中には、乗り換えが不都合と訴える声がある。車やトラックなどのドライバーには、LRTを設置したらかえって車線が少なくなり、車の邪魔になると反対の意見も。 Q お金もかかると聞いた。 A コストを懸念する見方はある。導入を計画する中心市街地と宇都宮テクノポリスセンター地区などを結ぶルート約十五キロで、市の試算によると、整備費は約三百八十三億円。公共事業への投資に世間の厳しい目が注がれる中「高すぎる」との異議がある。 Q 確かに高額な印象もある。 A ただ、市の構想では、二分の一は国の補助が受けられる見通し。残りの半分を、市と県で折半するといい、市の負担は九十五億円ほどになる。佐藤市長は「決して高い設備投資ではない」と主張している。 Q 道路を造るより安いのか。 A 市によると、例えば、宇都宮北道路(四・九キロ)の整備費は約四百四十億円で、一キロ当たり九十億円近くかかった。一方のLRTは、一キロ当たり二十五億円余り。ちなみに、専用レーンを設け、連節バスなどを用いたバス高速輸送システム(BRT)なら総額約百六十億円で、一キロ当たり十一億円ほどで済む。 Q いつごろまでにできる予定なの。 A 佐藤市長は「五、六年で完成したい」と言う。加えて「皆さんに利用してもらい『これはいい』と言ってもらえたら、宇都宮環状道路にも導入したい」と明かす。 Q 東西を結ぶだけではないの。 A 佐藤市長の構想には続きがある。「宇都宮環状道路は約三十四キロで、山手線より百メートル短いだけ。その内回り、外回りにLRTを配置できれば、南北、東西を含め、全国に負けない公共交通網が完成する。そこまでが、宇都宮の未来都市像」と青写真を描く。 PR情報
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