しばしば財務省の「ポチ」であるマスコミ論説委員クラスは「ワニの口」という言葉を用いる。これは財務省がマスコミを洗脳するときに用いる図の形から来ている。最近25年くらいの一般会計歳出と税収の推移を記したものである。
1990年以降、歳出は伸びているが、税収は伸びずに、ワニの口が開いたような図になっているのだ。この説明を受けるときに、財務省は税収の伸びない要因を説明せずに、不均衡が拡大していることを強調する。マスコミも説明を受けて鵜呑みにするだけなので、なぜ税収が伸びないかを聞かない。
増税しても経済成長がなければ税収は増えない
しかし、税収が伸びないのは、名目成長率が1990年以降ほぼゼロであるからだ。1991年度の名目GDPは474兆円であったが、2009年度は474兆円と同じ水準。
ちなみに、財務省のワニの図に、名目GDPを書き込んだものをみれば、誰でもこの様子がわかるだろう(図参照)。
この20年間で最も税収があったのが、1990年度の60.1兆円。1997年度は53.9兆円で、その後消費税増税したがデフレだったので、その水準すら超えられないまま、現在に至っている。これで、デフレ下では増税しても財政再建できないことは明らかだ。
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