新聞が書かない「経済成長がなければ増税しても税収は増えない」という基本的事実「インフレ嫌い」の与謝野大臣には不都合な真実

2011年02月07日(月) 高橋 洋一
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ちなみに日銀の対応はまったく手ぬるい。与謝野経済財政担当相は、世界金融危機時には自公政権で経済財政担当相であったが、当時「蜂に刺された程度」と発言し、危機感がまったく欠けていた。日銀は与謝野氏がサポートしてくれることをいいことに、世界各国で行われていた金融緩和をサボった(下図参照)。

多少はバランスシートを拡大させているが、スウェーデンを含め他の先進国が一目瞭然の金融緩和をしているのに、日銀はしなかったのだ。そのために、日本は今でもデフレから抜け出せないでいる。


余談だが、スウェーデンのリスクバンクはノーベル経済学賞のスポンサーである。こんな稚拙な日銀の経済運営を見ていたら、当分の間は日本にノーベル賞をあげたくないだろう。

中原伸之日銀審議委員が漏らした懸念


スウェーデンの例だけあげると都合のいいところだけを見ているのでは心配するかもしれないが、スウェーデンの名目経済成長率5%、インフレ率2%というのは、先進国の平均である。日本だけが、世界とかけ離れているのだ(下図参照)。違いは何と言っても、インフレ率であり、それは第一義的には日銀の問題である。


1月27日、10年前の2000年7~12月の金融政策決定会合の議事録が公開された。デフレの意味をわからずに、消費者物価上昇率が前年比マイナスにも関わらず利上げされた歴史的にもまれな政策失敗である。その議事録の中で、利上げに反対した当時の中原伸之審議委員は「日本異質論ではなく、日銀異質論と言われかねないと強く懸念している。」と述べている。今でも通用する正しい意見である。

インフレ率が低すぎると、名目成長率が高くならない。となると、税収も伸びない。これは1990年以降に日本で経験してきた事実だ。
 

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