米同時多発攻撃から11年、再開発めぐる確執や健康被害の問題も
[ニューヨーク 9日 ロイター] 米ニューヨークの世界貿易センター(WTC)などを狙った2001年9月11日の同時多発攻撃から、今月11日でちょうど11年を迎える。しかし、跡地(グラウンド・ゼロ)の再開発をめぐる確執や消防士らの健康被害など、事件から10年以上が過ぎた今も問題はなお残されている。
跡地には昨年9月に追悼広場がオープンし、これまで400万人以上が訪れているほか、同広場の横には2014年のオープンを目指して全米有数の超高層ビル「1(ワン)WTC」が建設中だ。
しかし、同地中心部に建設予定のミュージアムの資金をめぐって、関連財団とニューヨーク・ニュージャージー港湾管理委員会の確執が続き、ミュージアムの建設はとん挫。また、再開発の総費用も2008年の110億ドル(約8600億円)から150億ドル近くまで膨れ上がっている。
こうした状況を批判的に見ているのは、当時救助やがれき除去などに当たり、その後がんなどの病を患った消防士の遺族たちや支援団体だ。WTCの崩壊では、窓ガラスの破片やアスベストを含むがれきが大量に発生し、発がん性物質がまき散らされた。複数の調査によると、同時多発攻撃に関連する病気で死亡した人は1000人を超え、今なお治療を受けている人も全米で少なくとも2万人に上るという。
ブルックリンを拠点とする支援団体は「現在でも病に苦しんでいる人がたくさんいる」と説明。また別の支援団体によると、過去7週間で警官3人、消防士2人、建設作業員1人が、がんや呼吸器疾患で死亡したという。
夫を亡くしたというレスリー・ハスキンスさんは、跡地の再開発をめぐる対立に幻滅していると語り、「呼吸装置を買えない人たちがいるというのに、なぜ大金をビルの建設につぎ込むのか」と訴えた。
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