球団専属チアチーム「ｄｉａｎａ（ディアーナ）」のキャプテン・岩田えみなさんがファンフェスティバルを最後に引退した。同チームが発足した２００６年から在籍した唯一のメンバーで、礎を築いてきた功労者。今後は球団に残り、後進の育成に尽力する。

　「ベイスターズのファンって温かい」。ファンとの交流を終えた岩田さんの言葉に、充実感がにじみ出た。その目は真っ赤だった。

　ディアーナのメンバーは毎年、オーディションで選考され、入れ替わりが激しい。そんな中、岩田さんは発足当時のメンバーとしてはただ一人残っている。高校１年時に人気アーティスト「ＴＲＦ」のコンサートで一般公募のバックダンサーとして舞台に上がったダンスの腕前で、ファンを楽しませる環境づくりにも力を注いだ。

　シーズン中、試合前に行っている子供たちを対象とした工作教室など岩田さんが提案した企画は多い。発足当初、ディアーナの役割は明確ではなかったが、「球場を盛り上げたい」という思いを胸に、他のメンバーと共に基礎を築いてきた。

　発足時のオーディションは、ファンの前でダンスを披露し、投票で選考された。その時はわずか数十人しかいなかったというが、「今はこんな大勢の前で踊っている」と喜びをかみしめた。この日、１万人を超えるファンの前で踊る岩田さんは、最後まで笑顔だった。

　「踊ることよりも、ファンと盛り上がることが好き」。ファンと共に歩んだ日々に悔いはない。岩田さんは「今までファンに支えられてきたんだなと感じた。感謝の気持ちでいっぱい」と感慨を込めた。