日系企業のベトナムへの進出件数が、過去最多を更新した。長引く円高基調に加え、日中間の緊張により中国リスクを再認識する企業が増えている。親日的な国民が多く賃金が周辺国より相対的に安いことが、ベトナム進出の動きにつながっているようだ。
ベトナム外国投資庁が25日発表したリポートによると1~10月期の日系企業による新規投資件数(認可ベース)は、前年同期比39%増の225件に上った。最多だった昨年通年の208件を抜いた。製造業が多く、アジア進出を目指す中小・中堅企業に加え、中国からの工場移転組が目立つ。
新規投資額は同4.2倍の38億7500万ドル(約3100億円)に拡大した。東京急行電鉄の新興都市開発やブリヂストンのラジアルタイヤ工場、LIXILのアルミサッシ工場など数百億円規模の大型投資が相次いだ。
一方で、全体の新規投資額は同37%減の66億8千万ドルと落ち込んだ。世界的な景気減速を受けて欧米や台湾、シンガポールなどの企業が投資を手控えた。ベトナム国内の景気鈍化により韓国企業などの建設案件への投資も減少した。日系企業の投資額は全体の6割弱に達し、日本だけがベトナム投資に積極的な構図が鮮明になっている。(ハノイ=伊藤学)
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