「カーテン」の語源は、ラテン語の「cortina」から変化したと考えられ、古くはエジプト時代にさかのぼります。もっとも当時は現在のような窓に掛けるような形ではなく、寒さを防いだり、プライバシーを守ったり、また安息の場を作る目的で、ベットの周囲を布で覆ったものであったと考えられます。建築物や家具などと違い、カーテンの耐用年数は比較的短いため、当時の原形をとどめるものがほとんどなく、わずかに絵画や写真などで推測するしかありませんが、実際にカーテンとして使われたもっとも古い例は、ローマ時代の絵画に見ることができます。しかし、それも壁の装飾や、室内の間仕切りとして使われていました。
現在のようなカーテンがいつ頃から使用されたかという事はよく分かっていませんが、一説によると、ルネッサンス時代の初期頃からであったのではないかと考えられています。
日本へ渡ってきたのは江戸時代の事で、長崎の出島に外国公館ができた頃だと思われますが、その後明治に至るまで日本人がカーテンを使用することはほとんどありませんでした。日本古来の生活様式になじまなかったのです。ところが明治に入り文明開化が訪れると、上流社会における西洋化が急速に進み、しだいにカーテンが使われるようになりました。
そうして現在では、部屋の装飾として、また壁や家具とのコーディネートをした使われ方をされるようになり、現代生活の中で欠かすことのできない必需品となってきました。
|