衆院選:政治家なりすまし 「つぶやき」次々
毎日新聞 2012年11月24日 11時22分(最終更新 11月24日 11時32分)
短文投稿サイト「ツイッター」の普及が進む中で迎える今回の衆院選。政治家の利用が広がる一方、なりすましも後を絶たない。各党は、政党や政治家のホームページ(HP)とツイッターのアドレスをリンクさせるなどの対策を取るが、専門家からは対応の不備を指摘する声も出ている。
「おはよー。仕事鬼だるいけどまぁ頑張ってきますわ。早くこの職辞めて〜。」
民主党の野田佳彦首相を名乗る人物が20日、ツイッター上でつぶやいた。「プロフィール」には野田首相の写真が掲載され、「第95代内閣総理大臣」とある。だが、野田首相の事務所は「本人は公式アカウントを取得していない」とし、ツイッターは偽物と指摘した。
140字以内でネット上に投稿するツイッターは手軽で、速報性があるため利用する政治家が増えている。政治家のツイッターをまとめたサイト「ぽりったー」には、国会議員(前職、元職含む)89人が掲載されている。一方、名前などを誰でも自由に登録できるため、なりすましも相次いでいる。
公明党の山口那津男代表も被害に遭った。偽ツイッターは、当初は政治的な発言をつぶやいていたが、フォロワー(読者)が増えるとアダルトサイト関連情報を掲載。事務所に問い合わせが来るようになった。山口氏は対策として11年4月にツイッターを始め、「公式アカウントを設けさせていただきました」とつぶやいた。ただし「文字数が少なく、誤解を生む可能性がある」(秘書)として、その後は一切つぶやいていない。
偽物を見抜く手段として、青色のチェックマークが名前の横にあるかどうかを確認する方法がある。運営会社が本人と認定した印で、自民党の谷垣禎一前総裁や日本維新の会の橋下徹代表代行のツイッターなどに表示されている。ただ、認定の手続きをしていない政治家も少なくなく、マークがない本人のツイッターも混在する状態だ。
ITに詳しいジャーナリストの津田大介さんは「今の時代、政治家は自己防衛のためにも『これが本物』といえるツイッターのアカウントを押さえておくべきだ。その上で、HPの目立つところに掲載しておけば、なりすまし対策になる」と話している。【小林慎】