菅野、半世紀ぶりブチ破る！大卒ルーキーの壁

ファンフェスタでサインボールを観客席に投げ入れる菅野（左は大累）

　巨人のドラフト１位ルーキー菅野智之投手（２３）が２３日、チームの大卒新人では５３年ぶりとなる「初登板初勝利」を誓った。この日、東京ドームでの「ジャイアンツ・ファンフェスタ２０１２」で背番号１９のユニホーム姿を披露し、エキシビションマッチにも代打でサプライズ出場。投ゴロに倒れたが、来季のマウンドでは「半世紀にわたる開かずの扉」をぶち破る。

　「バッター菅野」がコールされると、４万４６７５人のファンから地鳴りのような大歓声が起こった。「スタンドでは何度も聞いてきましたが、この声援をグラウンドレベルで経験したのは、初めて。改めてジャイアンツに入ったんだなと思いました」。身震いを感じながら背番号１９は、勢いよくベンチを飛び出していった。

　デビューは突然やってきた。ＳＭＡＰの中居正広（４０）率いる「ブラックバラエティチーム」とのエキシビションマッチ。７点差を追う３回。盛り上げ上手な阿部監督は「代打・菅野」を告げた。「阿部さんに急に行けと…」というサプライズ出場。東海大の所属する首都大学リーグはＤＨ制だが、「プロ入りを想定し、打撃とバント練習はやっていた」という。マウンドには日テレの上重聡アナウンサーが立ちはだかった。元ＰＬ学園＆立大エースのスライダーの前にあえなく投ゴロ。それでもスタンドからは割れるような拍手が送られた。

ゲーム形式のイベントの３回無死、投ゴロに倒れた菅野

　この大きな期待を背負う覚悟はできている。まず挑むのは１９６０年の青木宥明（ひろあき）以来、５２年間達成されていない巨人大卒新人の初登板初勝利だ。新人王に輝いた上原も沢村も達成できなかった。しかし、半世紀以上にわたるジンクスも、菅野にとっては破るためだけにあるようだ。「そういう記録があるなら、悪い流れを払しょくできるように頑張ります」

　焦るつもりはまったくない。今オフの調整について「特別何かやらなきゃいけないということはない。今頃焦ってるようじゃダメ。今まで通り投げ込みと走り込みを継続していくだけです」。すでに準備はできていることを強調。新人王を目標としながら、「目先の目標を一つ一つクリアしていきたい」と積み重ねた先のゴールを見据えている。

　新人選手紹介では伯父の原監督の前で「このユニホームに誇りとプライドを持って、ジャイアンツに必要な選手になります」と誓った。２０１３年は菅野のシーズンになるのか。

　◆青木　宥明（あおき・ひろあき）１９３７年４月１８日、静岡・熱海市生まれ。関東学院大から１９５９年オフに巨人入団。背番号５６で６０年の開幕３戦目（対国鉄）に初登板し、完投勝利を挙げた。その年は開幕から５連勝を飾るなど６勝を挙げ、将来を期待されたが、故障に泣いて６２年を最後に引退。実働２年間で通算４７試合に登板、８勝４敗、防御率２・９３。０１年１１月に食道がんのため、６４歳で亡くなった。