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政治
【主張】尖閣の守り 領海警備の提起は当然だ
日本が固有の領土である尖閣諸島をどう守り抜いていくかは、衆院選で問われる国家の立て直しの中心的課題である。
自民党が政権公約で領海警備法の検討や海上保安庁の人員、装備拡充などを打ち出したのは極めて妥当な判断だ。
安倍晋三総裁が必要性を訴えてきた尖閣への公務員常駐などの統治強化策が盛り込まれた点も評価したい。
中国は1992年に領海法で尖閣諸島を自国領と明記し、政府公船による領海侵入などを繰り返している。尖閣のさらなる危機を回避するため、必要な具体策とは何かを論じ合うべきだ。
領海警備法は、自衛隊が平時から海上保安庁や警察を支援して不法な領海侵犯を排除するためのものだ。
国連海洋法条約では「沿岸国が無害でない通航を防止するため自国の領海内で必要な措置をとることができる」と規定しているのに、日本は国内法を整備してこなかった。中国公船による主権侵害の排除に領海警備法の制定は不可欠である。
尖閣の現状に関し、北村隆志海上保安庁長官は「(警備体制を)恒常的にきちっとやっていくためには現在の体制では対応は難しい」と21日の会見で語り、「従来程度の増員では今の状況に長期間耐えられない」とも述べた。来年度予算の概算要求で示された150人の人員増は急務だ。
大型巡視船の建造前倒しも進められているが、実際に使えるのは2年以上先となる。安倍氏は「退役した海上自衛隊の船を海保の船にし、即応予備自衛官を海保職員として雇う」案も提起した。こうした措置も検討すべきだろう。
野田佳彦首相は国有化に先立ち、政府より前に尖閣購入を計画していた石原慎太郎前東京都知事から、漁船が避難する船だまりや気象観測所の建設を求められたが、応じてこなかった。
領海警備法制定を求める意見は政府与党内にもあったが、藤村修官房長官は海保の運用改善で対応する姿勢を崩さなかった。
野田首相は「強い言葉で外交安全保障を語る風潮が残念ながら強まってきた」と述べている。
石原氏や安倍氏を念頭に置いた発言だろうが、中国を刺激しないよう、統治強化策をとらない言い訳にしているのなら、明らかに問題のすり替えだ。
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