日本維新の会:突然の政策転換の裏側 ブレーンを取捨選択 トイレで5分、一本釣り

2012年11月23日

 さまざまな分野のブレーンの主張を世論にらみで取捨選択する「雑食性」が日本維新の会の橋下徹代表代行の特徴だ。旧太陽の党との合流で維新八策の企業・団体献金禁止を撤回するなど突然の方針転換も目立つ。その裏に、政策転換のたびにブレーンから理屈を取り込む橋下氏の手法がある。

 「消費税だけでは社会保障財源は持たないと思う。どうしたらいいですかね」

 10月27日午後、大阪市北区の橋下氏の法律事務所。大阪市特別顧問の鈴木亘学習院大学教授(社会保障)はメールで呼び出され、東京から新幹線でかけつけた。鈴木氏が「相続税を増税するという言い方では、批判を招く。『高齢者がもらい過ぎた分を子孫に払わせず、相続資産から払い戻す』と説明すればいい」と助言すると、橋下氏は「100%その通りです」とうなずいた。

 維新八策で掲げる消費税の地方税化に対し、「国の社会保障財源はどう賄うのか」という批判が出ていた。格好の反論材料を得た橋下氏は4日後の10月31日以降、自らのツイッターに「毎年伸び続ける社会保障費を賄う税としては安定的な消費税は不向き。相続税を中心に考えるべき」と唐突に書き込むなどした。だが、相続税増税を前面にした発言に懸念を抱いた鈴木氏が橋下氏に「言い方を考えたほうがいい」とメールを送ると、橋下氏は「分かりました」とあっさり同意。本格的に遊説を開始した19日以降、相続税増税にはほとんど言及しなくなった。

 鈴木氏が橋下氏と初めて言葉を交わしたのは昨年10月、大阪の民放テレビ局のトイレだった。名刺を渡した鈴木氏に興味を持った橋下氏は「政策のご相談をしたいのでよろしくお願いします」と依頼。5分ほどの出来事だった。有識者を一本釣りし、必要になれば呼ぶのが橋下氏のやり方だ。

 橋下氏の変わり身の早さはブレーンも置き去りにする。10月25日夜、大阪市北区のおでん屋に橋下氏と維新幹事長の松井一郎府知事、エネルギー分野のブレーンの元経済産業省官僚の古賀茂明氏、飯田哲也(てつなり)環境エネルギー政策研究所所長が集まった。脱原発を志向する古賀氏らは「安全基準を高めれば設備投資がかさみ、原発は動かせなくなる」と強調。橋下氏は「要するにこれはシステム論ですね」と納得した様子だった。翌日から記者会見などで「システム論」を訴え始めた。

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