自民党が衆院選の選挙公約を発表した。沖縄県の尖閣諸島の実効支配を強めるための公務員常駐の検討を打ち出すなど安倍晋三総裁好みの保守色を鮮明にしたのが特徴だ。
選挙は他党との競い合いなので「自民党らしさ」を印象付けたいのはわかる。とはいえ、色を出しすぎると政権獲得時に現実とのあつれきが生じかねない。
どこまでが本気で、どこまでが旗印なのか。本紙世論調査などで目下、支持率1位の政党だ。その責任を自覚し、有権者に無用な不安を与えない補足説明が必要だ。
自民党は民主党政権のマニフェスト違反を厳しく批判してきた。安倍総裁は「自民党は約束したことは必ず果たす」と訴える。それにしてはやや首をかしげる項目がいくつかある。
災害に備える国土強靱(きょうじん)化計画には昔ながらの公共事業ばらまきの懸念がつきまとう。環太平洋経済連携協定(TPP)参加に後ろ向きな姿勢は農業従事者への配慮だろう。いずれも、地方を地盤としてきた「古い自民党」の顔が見え隠れする。
日銀の独立性を損ないかねない金融政策は内外に大きな波紋を広げている。軌道修正できるものは早めにした方がよい。
心配なのは周辺国との関係だ。尖閣常駐だけではない。2月の「竹島の日」に政府式典を開く。教科書検定基準を見直す。これらを実行すれば中韓との関係は一段と冷え込むことが予想される。
集団的自衛権の行使の解禁、自衛隊の国防軍への改組、国家安全保障会議の創設などは党が今年まとめた憲法改正草案に明記しており、公約に盛り込むのは自然だ。ただ、自民党はこれまで改憲を党是としつつ、実際の動きは慎重だった。幅広い議論を喚起するなど多くの国民が納得できる過程を経ることが大事だ。
世襲候補の制限の厳格化もうたった。だが、候補者選びの現実をみると引退した議員の多くが親族に後を託している。
法人税率の引き下げなど評価できる項目もある。しかし、公約破りへの予防線なのか、具体的な数値目標はあまり明示されていない。数字にこだわりすぎるのは適切ではないが、曖昧な表現に逃げ込まれては政策本位の選挙戦にならない。
安倍晋三、自民党、日銀
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