2008年08月12日

警察署各課の内訳


警察署の組織

警察署の規模によって「刑事生活安全課」、「刑事組織犯罪対策課」、「交通地域課」等2つ以上の課が統合されていることもある。逆に道県によっては大規模署で「地域第三課」、「刑事第二課」、「留置管理課」のように2つ以上の課に分割しているところもある。

警務課
各種受付、警察相談、留置管理、人事・厚生事務等、警察署の庶務一般。

会計課
拾得物受理・管理、給与事務、庁舎管理、物品(装備品)・被服管理等。小規模署では警務課の中に「会計係」として置かれてもいる。

刑事課
刑事事件の犯罪捜査、鑑識活動等。課内は幾つかの係に分かれており担当の犯罪捜査をそれぞれ重点的に行うが、各係はあらゆる事件で頻繁に合同捜査を行うことが多い。また発砲沙汰や誘拐事件など緊急性を伴う重大事件の場合は本部の応援を得て署全体で捜査にあたる。

大規模署の刑事課には40人ほどの刑事が属するが一般的には20〜25人ほど。警察署の刑事課は一般的な中堅企業の課の人員と同じくらい。

麹町、新宿、渋谷各警察署級の大手所轄となると50人ほどにもなり二つ以上に課を分割することがある。

課内の係数は署の規模により異なる。

警察署の刑事課や交通課は警視庁または警察本部の刑事部や交通部の出先機関としての役割も併せ持つ。その為、警察本部の犯罪捜査、交通取締活動などとは共同で任務にあたったり、協力して任務にあたることが多い。また、警察本部の行う警察活動を現場最前線からサポートすることも多い。

生活安全課
防犯活動、少年事件、環境事犯捜査、保安捜査等。
人員は刑事課と大差なし。

地域課
交番・駐在所、警ら用無線自動車の運用。地域所管犯罪の捜査。都道府県によっては雑踏警備。
都道府県警察や警察署によっては、地域課に警察署の所在地付近の区域を管轄する交番としての機能を持たせて、パトロールや巡回連絡などを行っている場合がある。これは「署所在地」と呼ばれ交番の一つとみなされる。

人員は、もっとも多人数の警察官を必要とする部署だが空き交番等の問題を抱えており、いまだ充実した人手が確保されていないのが現状。

交通課
免許事務、車庫証明、道路使用・占有許可、交通事故処理、交通捜査、交通取締等。

人員は30人前後。

警備課
警衛、警護、災害対策、集会デモ申請受付業務、管轄内の日本共産党及び警察が同等の関連団体とみなした団体、党員や同調者の視察内偵、スパイ工作等。都道府県によっては雑踏警備。

人員は30人前後。

参考:大野達三『警備公安警察の素顔』(新日本出版社)

組織犯罪対策課
薬物・銃器取締、暴力犯捜査等。各警察署に組織犯罪対策課(や刑事組織犯罪対策課等)が存在する。

通常業務の際は各課の業務は分かれているが、犯罪捜査などを担当する刑事課などは交通課や地域課、生活安全課と密に連携をとりながら業務を行う。また、特に重大な事件(殺人事件や捜査本部・特別捜査本部設置等)発生の場合は、署内の各課が合同で職務にあたり、刑事捜査だけにとらわれず、交通捜査、地域警邏、警務、警備などあらゆる課の警察官が動員される。

また一部の県警や北海道警察本部管内の一部警察署には課長の上に刑事担当次長、地域・交通担当次長等、その他地域でも大規模警察署を中心に刑事官あるいは刑事管理官、交通(管理)官、地域(管理)官という職が存在する。これらの階級は警視である。 業務内容は課の統括。

ニックネーム ピィポくん at 21:05| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月18日

警察と消防のジュンダー問題

警察に限らず日本の官界はいまだに男性主導なところが多いのだが、警察と消防は特に男性主導のイメージが強い。

日本の消防というのは元々は警察より低い立場にあった。

どういうことかというと日本の消防は戦前まで長い間警察官の一職種としての存在で独立した消防機関として運営されていなかった。

警察機関の一部門として運営されたので警察が消防を指揮する体制だった。

消防が独立した組織として運営されたのは戦後のことで、GHQが警察と消防の分離を命令してからそうなった。

よって、日本の消防は警察の伝統に色濃く影響されており、消防にも男性優位なところが受け継がれてしまった。

だが実際には消防のほうが警察よりもさらに男性優位なところがある。

警察は日本全国の警察を束ねる警察庁が強い権限を持って全国の警察を指揮監督する国家警察的な体制なので、警察庁が号令をかけると全国の警察機関が一斉に動いて女性の任官登用も全国的にスムーズに進んできた。

だが消防は基本的に自治体主体の構造をとってるので各自治体の消防機関が強い権限で運営を行う。

女性の消防官を採用するかどうかも全国一律で決まっていたわけではなく、警察のように婦人警察官制度が発足したから全国にその制度が適用されるようなことにはならなかった。

つまり採用するかどうかは各自治体消防機関が各々で決め、女性消防官を採用しない方針ならそれが通ってしまう。

それで戦後何十年も経っても一人の女性消防官も採用されないままだった自治体もある。

消防庁は警察庁と違ってそれほど強い権限がなく、消防は自治体権限が強く消防庁が各自治体消防職員の人事権を行使できない為起こった弊害だった。

今は全国的に採用されるようになったが、多いところと少ないところがあるのはやはり全国一律ではない消防といえる。

ちなみに消防官は正確には「消防吏員」という職名なのだが便宜上「消防官」とする。

女性消防官は女性警察官に比べて担当職務がかなり限定される傾向にあるらしい。

具体的にはオペレーション、事務、広報が主で、消火、消防査察、救急・救助・レスキュー、災害派遣といった消防の花形といえる主だった消防活動は男性が中心で女性は殆どいない。

消火活動は消防隊が放水で火を消すいかにも消防士らしい消防の花形ともいえる活動だが、女性が配属されることは滅多にない。

また配属されても男性に比べて職務が限定され、消防隊に配属されても後方支援がメインで実際に消火、レスキューへ従事しにくいようだ。

この理由には消防法など法律も絡んでいるらしい。

警察官は基本的に火の中に飛び込んだりしないので女性警察官も男性警察官も差別の少ない同様の職務を与えやすい。

このことからどちらかというと警察のほうがまだしも差別が低く納まるようだ。

消防官は消火活動やレスキューの場合、体力面が非常に大きな要素となるので、女性消防官だとどうしても男性消防官より体力面でハンデになるので最初から配属されない傾向がある。

警察の場合は体力面が大きな要素となるのは機動隊等一部の職種に限られるので警察官全体ではさほどの差別にならずに済んでいる。

もっとも大きいところでは女性消防官が女性警察官ほど活躍していないところがある。

女性警察官が女性の特性をもって男性警察官には困難な職務(女性犯罪者の対応や女性被害者の対応、幼時児童保護、青少年育成等)を行っているのに対して消防では女性のほうが好都合だという職務があまりない。

組織そのものも男性優位なので消防幹部は皆男性。

警察と違って消防にキャリア制度は無いが、その分女性キャリアもいないので女性が男性より優遇されて昇進することはない分、女性幹部は誕生しづらい傾向にある。

ニックネーム ピィポくん at 11:27| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月13日

警視総監と警察本部長

警視総監と道府県警察本部長のあいだには大きな隔たりがある。

警視総監は警察官僚の格付けでは警察庁長官に次ぐナンバー2の官僚である。

官界全体では警察庁長官は事務次官、警視総監は事務次官級。
どちらも官僚トップに位置付けられる。

しかし警察本部長は警視総監よりも格下の位置付けとなる。

資料によっては警視総監より1ランク下というものもあるが、実際には2ランクも3ランクも下がる。

警視総監は警視庁のトップであり、東京との警察機関を統括する警察官であると同時に日本の警察階級のなかでもトップに位置する。

対して警察本部長は警視長〜警視監の階級にある警察官で、警視総監よりも階級が下位である。

警視庁も道府県警察本部も自治体警察という観点でみれば同格であるはずだが、日本の警察機構は完全に自治体警察ではなく、最終的には国家警察である警察庁が統べ纏める国家警察と自治体警察の二本立て構造となっている。

日本の自治体警察にあたる警視庁と道府県警察本部を直接管理するのが警察庁である。

しかし警視庁は道府県警察本部と異なり別格扱いされており、首都警察という特別な地位を与えられている。

つまり国家警察的な役割を持たせつつ自治体警察としての機能も併せ持っているのだ。

管理系統も警視庁は警察庁直轄である。

広大な面積を持つ北海道は警察本部と管区警察局の機能を併せ持っているのでこれも警察庁の直轄となる。

他は管区警察局経由。

従ってその長も、警視庁は警視総監で警察庁長官に次ぐナンバー2、警察本部長はそれよりも格下となる。

これをさらに詳しくとりあげるとこうなる。

警視総監と警察本部長のあいだには2ランク以上の開きがあり、府県警察本部長は、管区警察局長(警視監)よりも格下となる。

府県警察本部長の階級が警視監であっても管区警察局長より格下。

これは管区警察局が府県警察本部を監督する立場である為。

警察本部長のなかで北海道警察本部長(警視監)のみは管区警察局の監督を受けないので管区警察局長(警視監)と同格とされている。

だがさらに内実を細かくすると、人員・組織・予算・管轄地域等を含めた規模というものも絡んでくる。

警視庁以外の道府県警において、その点で特出しているのが大阪府警である。

大阪府警は人員・組織において警視庁に次ぐ規模を持つ。

この点を鑑みて大阪府警本部長を北海道警本部長と並ぶ警察本部長中のトップクラスとしているのである。

ただ大阪府警本部長は北海道警本部長と異なり、近畿管区警察局長の監督を受けるので指揮系統上は警察庁直轄ではない。

このように警察本部長のなかでも序列というものが存在している。

この序列は警察本部の規模、すなわち人員、管轄地域の事情、組織の規模、予算によって決定される。

これらが一番多いのは警視庁である。

大阪府警は二番目に多いとされる。

だが警視総監と大阪府警本部長のあいだにも2ランク以上の壁がある。

警察本部長は大小全てをみても、管区警察局長と同格もしくはそれより下と位置付けられている。

そして管区警察局長は警察庁内部部局の長、つまり官房長、刑事局長、警備局長、交通局長、生安局長より格下の位置付けとなっている。(情報通信局長も内部部局の長だが、情報通信局長は技官であって警察官ではないので警察官の序列には含まれない。)

この点はいかにも国家警察>自治体警察の図式を如実にあらわしているといえる。

つまり警察庁中枢のポストは自治体警察トップの本部長より高位なのだ。

これは給与面からみても明らか。

日本警察はあくまでアメリカ警察のような自治体警察主体ではないということである。

そして警視監は警視総監に次ぐ二番目の階級であるが、同じ警視監でも序列がある。

警視監の階級にある警察官のなかでもっとも高位のポストは警察庁次長である。

この警察庁次長はその名の通り警察庁ナンバー2で長官の補佐役である。

官界全体での地位は中央省庁の外局の長、すなわち海上保安庁や消防庁の長官と同格ということ。

次長なのに外局の長官と同じ地位なのである。

これは警察庁の位置付けが海上保安庁や消防庁のように省の外局とは異なることに由縁する。

警察庁は国家組織の中で特別な位置づけにあり、国家公安委員会に置かれる特別の機関となっている。

上下関係としては警察庁は海上保安庁や消防庁等よりランクが上なのだ。

その為、高官ポストも繰り上がり海上保安庁や消防庁等の長官と警察庁次長は同格となる。

だが警察庁次長のすぐ上が警察庁長官というわけではない。

二者のあいだには警視総監がいるのだ。

警視総監は警察庁長官よりは下だが警察庁次長よりは上なのである。

ただし警視総監は警察庁の役職ではないので長官を直接補佐することはなく次長の直属上司というわけでもない。

しかし階級上はあくまで警察庁次長より上である。

つまり警視総監の地位は海上保安庁長官や消防庁長官よりも上なのである。

これは俸給を見ても明らかなことで、警視総監の俸給は海上保安庁長官や消防庁長官よりも高い。

警視総監と消防総監の上下関係において警視総監が上ということも、階級準則により消防庁長官より下位に位置付けられている消防総監と、消防庁長官よりも上位に位置する警視総監の違いで確定的。

ちなみに警察庁次長の俸給は海上保安庁長官、消防庁長官等と同額である。

警察内部の上下関係に絞ると警視監中でもっとも上位のポストは警察庁次長。

それに次ぐ第二位の警視監が警察庁官房長及び局長。

警察庁中枢の準高官クラスと大阪府警本部長はそれに次ぐ第三位。
管区警察局長も準高官クラスだが官界では地方機関ポストは本庁内部ポストよりも格下という扱いが常態なので管区警察局長はやや微妙。

他に警視監より下位の警視長の警察本部長もいる。

警視長の警察本部長は小規模警察本部の長である。

ポストとしては警察庁の課長クラスと同格にまで下がり、警視総監と比較すると3ランクも4ランクも下である。

この点をみても日本では各自治体警察は同格とはならず、警視庁が筆頭、大阪府警、北海道警はそれに次ぎ、小規模警察本部の長は警察庁課長と同格になるなどかなり格下の扱いとなっている。

その自治体の住民数や政令指定都市の有無、重要施設(原発、国際空港等)の有無が決定的に影響してくるのだ。

ニックネーム ピィポくん at 20:36| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

 

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