安倍の「インフレ目標3%」に専門家から批判続々
【政治・経済】
実現のために竹中平蔵・日銀総裁?
で、21日発表した政権公約では、さすがに「物価目標2%」と下方修正したのだが、安倍本人は「個人的には3%がよいと思っている」と発言。「3%」にこだわっていた。
第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏は言う。
「安倍総裁の日銀に対する強気発言で、金融緩和期待が高まり、為替は円安に触れ、株価は上昇しました。でも、3%のインフレ目標をどうやって達成するのか。米国でさえ目標を2%にとどめています。デフレ真っただ中の日本経済の現状では1%が限界でしょう」
株式マーケットからも、「野党の無責任発言に相場が振り回されている」(金融関係者)なんて、自省の声が聞こえるのだ。
経済評論家の杉村富生氏も言う。
「安倍さんは経済ブレーンの考え方を口にしているに過ぎません。それが実現可能かどうかは二の次。荒唐無稽な内容でもマーケットが反応すれば、評価が高まると勘違いしているのです」
これだけなら、単なるアドバルーンだが、インフレ目標3%には消費税増税も深く関わっている。ここから怪しい話になってくる。株式評論家の黒岩泰氏はこうみる。
「14年4月に消費税増税に踏み切るには、来年9月ごろまでにデフレ脱却の必要があります。無制限の金融緩和でも何でもして、景気回復のメドを立てておかなければならない。米国の意向も強く働いていると思います。財政の崖にある米国は、日本からカネを搾り取りたい。日銀の資金を使って米国債を買わせる狙いもあるのではないか」
日銀による外債購入は、安倍のブレーンである岩田一政・日本経済研究センター理事長が提唱している。岩田氏は「安倍政権が誕生したら有力な日銀総裁候補」(市場関係者)だ。
「米国寄りの竹中平蔵氏も日銀総裁候補に挙がっています。もしも『安倍首相―竹中日銀総裁』なんてことになったら、日本のカネは米国に吸い取られるだけ吸い取られる。そもそも次期首相に安倍氏が就くかどうかも怪しい。マーケットはそろそろ冷静に判断すべきです」(黒岩泰氏)
安倍の思惑に踊らされると、日本経済は痛い目に遭う。