山口新聞 ふるさと創生へ 県民とともに

下関南高に新星4人 中国地区高校かるた大会優勝
2012年11月23日(金)掲載
夜間の公民館に集まって競技かるたの練習に打ち込む下関南高校の生徒たち=14日夜、下関市の吉見公民館
下関市後田町の下関南高校に、「畳の上の格闘技」とも呼ばれる競技かるたで成長著しい2年生の男女4人がいる。4日に広島市で開かれた中国地区高校小倉百人一首かるた大会の団体戦で優勝。同校にかるた部はないため活動拠点がなく十分な練習はできないが、まずは同好会の結成を目指して頑張っている。

「バーン、バーン」―。夜の公民館に、激しく札を叩く音が響き渡る。吉見、勝山の両公民館が4人の主な練習場所だ。放課後や週末を利用して毎月10日ほど集まっては札を奪い合い、切磋琢磨している。多いときは1日6試合をこなす。

4人は下関かるた会(久保道生会長)に所属。中学3年でかるたを始めて全日本かるた協会認定2段の久保翔太郎君(16)が、高校入学後に初心者の小島涼君(17)と矢野朝香さん(16)、田口晴美さん(17)を誘った。

競技かるたは、100枚ある取り札の中から自陣と敵陣に25枚ずつ並べて奪い合う。敵陣の札を取った場合は自陣の札を1枚敵陣に移動。自陣の札がなくなったら勝ちとなる。上の句6文字目まで聞かないと取れない札もあるが1文字目で特定できる札もあり、選手たちは一瞬の反応を競う。

時間を忘れて勝負に没頭できる楽しさに、初心者だった3人もすぐ引き込まれた。中学時代は久保君と同じ柔道部だった小島君はすでに2段を取得しており「引き分けがなく、力の差があっても最後まで勝敗が分からないところが好き」と夢中になっている。

指導するのは、下関南高卒業生の公務員、友田瑞恵さん(48)。中学、高校で全国制覇し、中3で女流選手権最年少優勝を果たした。高校の3年間は全国大会の団体戦で2〜4位と好成績を収めた実力者だ。

友田さんの熱血指導に、4人はみるみる上達。4日の中国地区大会では12校の頂点に立った。5人一組の団体戦に4人で出場したため、常に1敗のハンデを背負っての戦い。決勝では、無段の田口さんが2段の相手を札1枚差で倒すという快挙で優勝を決めた。

「負けて当然だと思ってプレッシャーを感じなかったのが良かった」と田口さん。久保君は「団体戦で優勝するのが目標だった」と喜びをかみしめる。友田さんは急成長の理由を「常に自分たちで考えながら練習している」と説明する。

しかし、吉見公民館など遠方での練習に交通費と時間をかけて通うのは負担が大きい。「いつでも使用できる練習場所を学校に確保できれば」と同好会の結成を目指すが、会員数など設立条件はハードルが高い。

次なる目標は「かるた甲子園」と呼ばれる全国高校小倉百人一首かるた選手権大会だが、出場するには下関南高が全国高校文化連盟かるた専門部に登録しなければならない。4人は「学校に実力を認めてもらえるよう、さらに頑張りたい」と練習に熱が入る。
戻る
山口新聞ホームへ

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます。すべての著作権は山口新聞社に属します。
 Copyright(C)2008 Minato-Yamaguchi Co.,Ltd.
お問い合わせは電子メールyedit@minato-yamaguchi.co.jp