有料メルマガは「ファンクラブ会報誌」の域を抜け出せるか?

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2012/11/23


要するに…
・個人のライターが毎週ペースで高い情報価値のあるコンテンツを発信するのは困難
・有料メルマガは多くのライターにとって「労力の割にそれほど儲からない」もの
・定期更新が難しいライターのメルマガは、結果的に熱心なファンが残っていく(ファン会報誌化)
・「現代ビジネスブレイブ」のようなリパッケージ型には可能性があるかも


先週あたり下記の記事が話題になっていましたね。ちょいと遅れましたが、有料メルマガについて考えてみました。

Film Goes with Net 週刊(だったはずの)有料メルマガが一ヶ月間配信されなかった件


個人が「高い頻度で」「定期的に」「高い価値のあるコンテンツ」を発信するのは、そもそも困難

一部のライターを除いて、有料メルマガって「ファン会報誌」以上のものにはなりえないと思うんですよね。

その理由はシンプルで、個人が定期的に課金する価値のあるコンテンツを生産しつづけることは、至難の業だからです

「高い頻度で」「定期的に」「高い価値のあるコンテンツ」を発信しつづけられるのは、佐々木俊尚さんなど、ごく一部の著者に限られると思います。僕自信も、書き続ける自信がないため、未だに手をつけられずにいます。月に1度くらいならいけるかも…という感じ。


労力の割に儲からない

課金している読者からしたら「いや頑張れよ!」という感じですが、有料メルマガって、労力の割に、残念ながらそんなに儲からないんですよね。メルマガ一本で食っていけるのはごく一握りの著者だと思います(そしてそういう人は、メルマガじゃなくても食っていけるでしょう)。

僕の知るかぎり、毎月「売上」で20〜30万円でも「けっこう頑張っている方」だったりします(あくまで僕の知る範囲では、ですが)。金銭的なモチベーションのみでは、特に購読者が少ない開始当初は書き続けられないでしょう。著者も人間なので、「あんまり儲からないな…」と一度感じちゃうと、モチベーションは下がっていく一方だったりします。


情報目的の読者は消え、つながり目的のファンが残る

期日通りに更新できない著者の場合は、情報価値を求めていた読者が離反するので、結果的に「たまに更新がなくても、この人にお金を払いつづけたい」と考える読者のみが残っていく(=ファンクラブ化していく)でしょう。

これはごく健全なことだと思います。やり玉に上がっている家入さんのメルマガも、ひどいといえばひどいですが、それでも「まぁ家入さんだしな」と残る人は納得して残っていくはずです。大部分の有料メルマガはそんな感じに落ち着くだろう、というのが僕の読みです。


リパッケージ型有料メルマガの可能性

Brave intr

ファンクラブ化していくのはそれはそれで健全だとは思いますが、例えば

・有料メルマガがかなり儲かるようになる
・月に一回発行など、ノルマを軽くする
・講談社の「現代ビジネスブレイブ」のような個人メルマガのリパッケージ、アグリゲーションが進む

といった変化が起きれば/対応をすれば、有料メルマガは、雑誌や新聞に近い課金コンテンツ(高い頻度で価値の高い情報が届く)となっていく可能性があるでしょう。

儲かるようになるのは難しいので、現実的なのは「ブレイブ」型のリパッケージでしょうね。例えば「525円払うと、津田マガ、やまもといちろうマガ、家入マガのどれかが毎週届く!」みたいな(これはあまりにも安直ですが)。


と、つらつらと考えてみました。タイトルは「有料メルマガは「ファン会報誌」の域を抜け出せるか?」と書きましたが、そもそも「抜け出すべきか?」という議論も重要だと思います。個人がやるのはどうやっても限界がありますので。

僕は「個人の有料メルマガ」は、「ファン会報誌」でいいんじゃないかなぁ、と思っている派です。極端に言えば「有料メルマガが一ヶ月間配信されなかった」としても、それはそれでいいじゃん、ということです。嫌なら課金やめればいい話ですしね(返金の扱いは難しいですが…)。

皆さんは有料メルマガの現在と未来について、どう思いますか?ぜひコメント欄で考えをお聞かせください。


関連本。メディアの未来について考えたい方はぜひ(ブックレビュー)。