社説:2012衆院選 日本の針路「原発と社会」

毎日新聞 2012年11月23日 02時30分

 原発に対する国の責任をどう位置づけるかも大きな焦点になる。

 まず問われるのが、東電再建への追加支援だ。現行制度の下で、事故に伴う損害賠償の全責任を負うはずの東電は、「一民間企業では背負い切れない」として政府に追加支援を要請している。

 ◇電力事業の競争促進を

 東電の努力でまかない切れないのであれば、国が分担するしかない。「国策民営」で原発を推進してきた責任は国にもあるからだ。国の責任とは国民負担ということである。安易な救済策では、国民の理解は得られまい。過去の原発政策の反省も踏まえた国の責任分担のあり方について、各党の考えを聞きたい。

 国民生活への影響を考えると、電力システム改革に対する各党の対応にも注目する必要がある。

 原発依存度を引き下げるには、代替の電源が必要になる。中長期的には太陽光、風力などの再生可能エネルギーが期待されるが、それらが普及・拡大するまでは燃料費の高い火力発電が中心になる。

 再生エネにしろ、火力にしろ発電コストがかさむ。コスト増がそのまま電気料金に上乗せされるようでは、家庭の負担が増すばかりか、製造業の国際競争力に大きなダメージを及ぼしかねない。

 電気料金を抑制するためには、電気事業への新規参入を促し、大手電力間の競争も促進する電力システム改革が不可欠になる。

 民主党政権は、家庭用まで含めた電力小売りの全面自由化や、電力会社の発電部門と送電部門を切り分ける発送電分離を進めるとしてきた。競争を促す政策として評価できる。かつて、小売りの自由化などに反対してきた自民党は、改革への覚悟が問われる。

 原発・エネルギー政策は電力の安定供給、料金負担、エネルギー安全保障などの問題に直結し、国民に大きな影響を与える。各党が目指すのは低エネルギー社会への転換か、原発事故前への回帰か。

 各党は国民が自ら選択するための材料として、それぞれが描く未来とそこに至る道筋を具体的に示してもらいたい。

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