先月14日に閉幕した「2012フォーミュラ・ワン(F1)第16戦韓国グランプリ(GP)」の営業損失は394億ウォン(約30億円)に達することが分かった。F1韓国GP組織委員会が21日、全羅南道議会の行政事務監査で「今年のF1大会の開催費用と収益を精算した結果、394億ウォンの営業損失を出したことが分かった」と述べたもの。大会にかかった費用は運営費235億ウォン(約18億円)やF1運営会社「FOM(Formula One Management)」に支払った開催権料510億ウォン(約39億円)など合計745億ウォン(約57億円)だった。一方、収入は入場チケットや企業ブースなどのマーケティング収入206億ウォン(約16億円)、国費支援50億ウォン(約3億8000万円)、スポーツTOTO基金25億ウォン(約1億9000万円)、そのほかの収入70億ウォン(約5億3000万円)など計351億ウォン(約27億円)だ。
今年の赤字額394億ウォンは2010年の725億ウォン(約55億円)、昨年の610億ウォン(約46億円)に比べ額は大幅に減ったものの、F1韓国GP組織委員会が昨年FOMと開催費用の再交渉を行った後に公言していた「赤字200億ウォン(約15億円)台」に比べ100億ウォン(約7億6000万円)多い。
F1韓国GP組織委員会は「今年5月から8月まで開催された2012麗水世界博覧会(麗水エキスポ)や欧州に端を発する金融危機などで、企業マーケティングやスポンサー・広告誘致が困難を極めた」と説明している。このため、この3年間のF1大会累積赤字は1729億ウォン(約132億円)に膨らんだ。このような雪だるま式の赤字は、全羅南道が当初F1大会の開催を推進した際、実現の可能性について調査・発表した予測とは全く違う。当時の予測によると、全羅南道は第3回大会までに累積黒字369億ウォン(約28億円)、7年間で合計1112億ウォン(約847億円)の利益を出すと推算していた。
監査院は昨年7月、「地方自治体の国際イベント招致および予算執行実態」という監査報告書で、全羅南道がテレビ中継権料支払額(年間147億ウォン=約11億円)や金融費用(年間173億ウォン=約13億円)を計算しなかっただけでなく、F1の権利関係を管理しているFOA(Formula One Administration)の収入である広告・物品販売収入(1071億ウォン=約816億円)を全羅南道の収入に含めるなど、いい加減な推算で赤字事業を黒字事業と間違って予測した、と指摘している。
このようにF1大会の赤字が雪だるま式に増えていることから、赤字構造の打開策が必要だという声も高まっている。湖南大学のチョ・ギュジョン教授(スポーツレジャー学)は「地元の祭りなどの文化・観光イベントをF1大会に結びつけ、中国や日本からの観光客を招致すべきだ」と話す。また、全羅南道はもっと前面に立ってタイトルスポンサーなど大手企業の参加・支援を引き込むべきだという指摘もある。さらに、開催コスト削減のためFOMとの追加交渉も検討せよとの声が上がっている。