- ― 世古さんは、現在どのような立場でお仕事をされているのでしょうか?
- 世古 カプコンの子会社である「カプコン・インタラクティブ・カナダ, INC.」というモバイル端末向けコンテンツの開発部門がトロントにあり、そこで開発のマネジメント業務をしています。また、ロンドンにあるカプコンエンターティメントヨーロッパのモバイル端末向け開発部門を同時にマネジメントしています。
- ― 設立から3年で北米市場でのシェアが5位となり、躍進されていますね
- 世古 2009年の順位は変わっていませんが、シェアは3.5%から5.5%に成長しました。また2007年度には約750万件だったダウンロードも、2008年度には1,000万件となり、お陰様で続伸しています。
- ― 世界的に厳しい市況が続いていますが、モバイル市場は拡大を続けているのですか?
- 世古 これまでモバイル市場は年間20〜30%の成長を続けていましたが、現在は0〜5%と横ばいの状態です。ただ、不景気のあおりで市場全体は伸び悩んでいるものの、iPhoneをはじめとするスマートフォンの登場で市場は大きく変わりつつあります。このような状況下で市場の変化についていけず撤退・倒産したパブリッシャーも多いです。
- ― 競合するパブリッシャーが少なくなったということですね。
- 世古 はい。これまでの旧来の携帯電話向けゲーム市場だけを見た場合、パブリッシャーの撤退によって確かに競合するゲームは減少してきたと言えますが、一方でiPhoneやアンドロイドといったプラットフォームの登場で、これまで携帯電話向けゲームを作っていなかった会社や個人でも気軽にゲームを作ってパブリッシュできるようになり、ゲーム全体の数はむしろ飛躍的に増加しています。
- ― コンテンツの配信に際し、欧米市場間で違いはありますか?
- 世古 北米・欧州ともに市場規模はほぼ同じですが、欧州は国数が多い分端末も多種にわたるため、技術面でも手間がかかります。北米では1キャリアでおよそ8,000万人以上のユーザーを網羅できるのに対し、欧州は国毎に異なる小規模キャリアが存在するので利益の回収が難しいのが現状です。
- ― 携帯電話でゲームをする環境は、各地域で異なるのでしょうか?
- 世古 はい。遊ぶ場面や時間帯も異なりますね。日本では電車の中や待ち時間にゲームで遊ぶことが多いと思いますが、北米は車で通勤する人が多いので、携帯電話のゲームで長時間遊ぶケースは少ないようです。一方欧州は、公共の交通機関を日常的によく使うという面では日本と似ていると思います。
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