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オススメ系美少女ゲーム形

2012-11-21

最近のニコニコ動画について

事実。ニコニコ動画は開始五年にして150万人の課金会員を獲得した。

これはすごいことですね。果たして、これだけのことができる経営手腕をもった人間が日本にどれぐらいいるか・・とにかく素晴らしい実績であることは確かです。

同じ動画サイトとして世界的に有名なのがYOUTUBE。しかし、YOUTUBEが黒字化したのかどうか。ネットを調べても、「今年黒字化するようだ」しか出で来ず、「黒字化した」という情報がない。

しかし、ニコニコ動画は開始当初からその方向性を手探りで進めていた。
初期はYouTubeから動画を引っ張ってくる方法。これはすぐにYouTubeにブロックされ使えなくなた。次に、自社サーバ時代。動画保存サーバを自社で使うことにした。次に、公式時代。アニメ配信等の著作権ビジネスを始め、数多くあった二次創作コンテンツが削除された。

特に、公式配信時代に突入する時に、ニコニコ動画はその開始当初にあった「雑多なコンテンツ性」が剥奪され、クリーンな要素しか残らなくなることが指摘されていた。

結果、コンテンツの毒気は失われ、固定化されたランキングコンテンツによって初期ユーザーが感じる魅力も減退してきている。
ニコ動に見る、動画ビジネス黒字化の方法 − @IT

確かにそのようなこともあっただろう。だが、個人的にはこの判断は正しかったと思う。
そして、ここで言いたいのは、「動画を作るのは誰か」ということである。

動画サイトとは要は動画を見てもらうサイトである。となるならば、コア・コンピタンスとなるのは「動画コンテンツ」そのものであると言っていい。もちろん、ニコニコ動画は動画サイトの中でもトップクラスの高いトラフィック環境を備え、優秀なUIも含めて動画を見る人間の利便性をまさに日本企業のよく言われるように「80%でいいところを、100%目指す」という方針でもあるかのように、徹底的にブラッシュアップしてきた。これは誰にでもできることではなく、優れたプログラミング技術と、高いUIへの理解がなければ実現不可能なことだ。ここには膨大なコストがかけられていることが伺える。

それはそれとして、問題は「動画コンテンツ」である。
これが他人にして「見たい」と思わせるものでなければ、いくら土台が整ったところで、意味が無いわけである。
そこでニコ動は恐らくは2ちゃんねるからの発想であると思うが「カテゴリ別ランキング」を作った。これは2ちゃんねるでいう板ごとに速さで整列させたようなものである。
そこで、ゲームやラジオ、アニメといった、各視聴者が見たいと思うコンテンツへのアクセス性を増加した。これはどの動画サイトも行なっていない新しい観点である。YouTubeにもカテゴリランキングはあるが、ほとんど意味のないほどざっくりとしている。アクセス性としては意味のあるところにまで磨かれた仕様とはいえないだろう。

また土台の話に戻ってしまったが、コンテンツを作るのは「素人」である。、ということが言いたい。
これは実においしい話である。なぜなら、ニコ動自体はなんら「コンテンツ」獲得コストをかけずに「コンテンツ」を獲得でき、その客によって利益を得ることができるからだ。
単純に言うなら、ものすごく分厚いマンガ雑誌のようなものだ。その中でカテゴリごとにマンガが並び、その順番はジャンプのごとく人気順なのである。そして、掲載するマンガを作る漫画家は素人なのでただで働いてくれる。読者はその素人が作るマンガが見たいから雑誌を買う。出版社はその利益を得る。このようなシステムになっている。

であれば、ニコ動はあと数年、小つぶなクリエーターに対して発表とビジネス機会を提供し、ニコ動本来のユーザー層ともいえる利益率の高い限定されたユーザーにフォーカスするべきなのではないだろうか。
ニコ動に見る、動画ビジネス黒字化の方法 − @IT


しかし、これは上手く行くだろうか。
実際のところ、ニコ動は「上手くいかない」と考えた。だからこそ、アニメ配信を始め、今ではそのクールに放送されるかなりの数のアニメを配信することにした。そして、その視聴者数は非常に多い。一週間に20万再生されるようなアニメもあり、これは極稀にしか生まれない100万再生動画を一ヶ月と一週間で量産するコンテンツである。

そして、ニコ動の予想通り、「ニコ動本来のユーザー層」に供給される作品は減退した。

今回はここのことを言いたかった。

つまり、最初のころに言われてた
「色んな素人が面白いコンテンツを作ってくれる」
ということの幻想についてである。

https://twitter.com/Jiraygyo/status/261209179233087488

ニコ動の最初期にあったコンテンツ、いわゆる「組曲 ニコニコ動画」にあるようなコンテンツは一種のブームである。
ブームは廃れる。これは絶対の法則である。
そして、廃れた後に何がやってくるかと言えば、コンテンツの枯渇である。

短期間に「組曲 ニコニコ動画」などというものが出来上がるのが非常に稀な事態だ、ということの理解は経営側にあったと言っていいだろう。
最近のニコ動でこれほどの爆発的コンテンツの発生を見ただろうか? 実はこれはビッグバンとでも言うべき「動画」としてあった蓄積されたコンテンツの爆発であった。
それは、デジモン真赤な誓いなど、ニコ動が開始される前からあった個々の人が面白いと感じていたコンテンツを動画上で共有する場が生まれたことによる爆発である。
だから、ここで出てきたものは「これまでにあった歴史の総決算」であった。
面白くないわけがない。

しかし、今、そのような豪華なコンテンツがあるか。

初期にあったのはそのような「これまであった面白い動画をほかの人と一緒に見れる」ということの事態への「興奮」そのものであった。
デジモンは別に借りてくればいつでも見れる。真赤な誓いも別に一人で聞くことはできる。
そうじゃなく、アノテーション方式でそれを擬似的に共有できる、そのこと事態に興奮していた。
そして、さらに豪徳寺きしめんなど、これまでになかった新しい動画の「楽しみ方」を発見し、そのことに興奮していた。
最初期にあったハレ晴れユカイブームなど、動画の歴史発掘の典型例である。WAWAWAブームなどもその典型例だ。涼宮ハルヒ自体はその投稿されるまでに一年近い空きがある。涼宮ハルヒが放送されていたのはニコ動の生まれる前だ。


しかし、それは続かない。

なぜなら、作ってるのが素人だから。

素人は「継続」できない。継続へのモチベーションが希薄だからだ。
それは「なんだか流行ってたし、面白そうだから」ぐらいのものだ。
「面白くなくなった」らやめる。


新しい人間が流入してくれば、どうにかなるだろう。
そう思うかもしれないが、新しい人間を入れることが難しいのである。
例えば、日本インターネット界において一時期テキストサイトというのが流行った。
それはまさに「流行った」ということであり、当然、今ではそうでないということになる。
テキストサイトなど、敷居はほぼないに等しい。
しかし、新しい才覚ある人間が多数流入したかと言えば、そうではない。
一時期はそれがブログに変貌し、ブログ出版ブームなども起きた。
しかし、その土壌においてクリエイタが増加するわけではなく、それは減退していった。


次にニコ動初音ミクを見つけた。
ブームの火付け役は間違いなくニコ動である。ニコ動という発表の場がなければこれほどの浸透を見せなかっただろう。
ここには「クリエイタの卵」がいる。あるいはプロもいるかもしれない。
とにかく、「プロ」を目指す、あるいはそれにより利益を得ることを志向する存在がいる。
これはニコ動にとって非常に大事な人材である。だからVOCALOIDというカテゴリを作って保護した。


ゲーム実況の話をしたいからするが、これも完全な素人制作コンテンツである。
だから、今ははやってない。
ニコ動住人はこの素人ということを忘れて心ない言葉を実況者にぶつけた。
それによって実況者は次々に引退に追い込まれていった。
これは悲しいコンテンツの終わり方である。
今残っているのが、複数人でやってたり、ゆっくりだったり、字幕実況だったりするのは、そういうことである。特に、一人でやって残っている人はかなり少ないが、それらの人は必ずといっていいほど、コメントとの距離をおいている。コメント返しなどはほとんどしない、というのが特徴である。これは、住人が、自分のコメントを読んでくれているということを認識すると、途端に「お客様」に変貌するからである。これは日本根性が染み付いた常識を持たない人間にとっては容易な変貌なのである。
これはニコ動の住人の性質の問題である。
非常に幼い。
品性下劣。
出る杭を打つ。
大手小町レベルの「モラリスト帝王」が誕生する。
などの問題があった。
だから、彼らは無視することに決めた。
彼らは素人である。普通関わりたいとは到底思わない言葉と関わるのなど御免被るというのが普通である。


素人の問題は川上会長はよく理解している。
象徴的なのがニコニコ超会議で、ニコ生がテレビ化している、というようにパネリストから集中砲火を浴びた際放った言葉「素人が面白いのは一回目まで」というのである。
これには蒙を啓かれた。
その瞬間、それまで「素人発信のコンテンツの重要性」を語っていたパネリスト全員が押し黙ってしまったのである。もしこれがディベートであったなら完璧な川上会長の勝利の瞬間であった。

だから、ニコ動が公式コンテンツの拡充へと舵を切ったのは当然であったのである。
もし、開始当初と同様、MADコンテンツを削除しない方針で行ったとしたら、今頃黒字化していたかどうか、これはかなり怪しい。なぜなら、現状を見れば明らかだからだ。
それよりもアニメや映画の配信に力を入れたこと、これはかなり正しかったのではないか。

しかし、これは新たなビジネスの壁にぶつかる。
Huluという日本上陸を果たした動画配信サイト、それから同じくアニメ配信サイトのバンダイチャンネルである。

Huluバンダイチャンネルの課金スタイルは月額課金で全コンテンツが見れるようになる、というものである。
対して、ニコ動はそのようなものはない。
ならば、どうやって課金ユーザを増やせばいいのか?
ニコ動の課金を増やすということへのモチベーションは「速度」である。
が、最近はかなり改善されてきている。もう一つは生放送での弾かれることであるが、これもそこまでして見たい生放送があるのかどうか。
YouTube型の自由投稿サイトとHuluなどの配信サイトとしての、さらにはUSTREAMなどのストリーミングサイトとしての機能も持つニコニコ動画。非常に貪欲なサイトだと言える。これについて包括的に語るのはかなり難しくなりつつある。そのようなniconicoが今後どのような発展を遂げようとしているのか。

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