全日本おばちゃん党:「オッサンくさい政治飽きた」と始動
毎日新聞 2012年11月22日 11時54分(最終更新 11月22日 11時59分)
台所事情を圧迫する消費増税や山積する福祉の課題−−。衆院選に向け、大阪のおばちゃんたちで作るグループがネット上で「政党」を立ち上げ、動き始めた。その名も「全日本おばちゃん党」。23日に大阪市内で始動式を開き、おばちゃん目線で政治に活を入れる。
「オッサンくさい政治はもう飽きた。おばちゃん党でも作ったろか」
今年9月、民主党代表選と自民党総裁選に立った顔ぶれを見て、大阪国際大准教授の谷口真由美さん(37)=国際人権法=が交流サイト「フェイスブック」でつぶやいた。「ええやん」「おもしろいやん」。すぐに反響が寄せられ、「全日本おばちゃん党」をフェイスブック上に「シャレで」(谷口さん)作ったところ、約2カ月間で800人近い賛同者が集まった。
主婦や会社員、ジャーナリストから医者まで職業はさまざまだが、「党員」は全員女性。消費増税に対しては「景気が疲弊している今せなあかん?」「社会保障はどこいったん?」。保育や介護は「誰がしんどい思いしてんねん。おばちゃんばっかりや」と手厳しい。3児の母で「党員」の大前ちなみさん(41)=大阪市都島区=は「3年前は民主党に期待したが、生活が良くなった実感はない。家計を預かるおばちゃんの声が政治に届いていない」と話す。フェイスブック上での議論は、女性の社会進出や原発問題にまで及ぶ。
谷口さんは現在の政治状況を「マッチョ的で旧来の古い体質に回帰している」とみる。政治家が公然とナショナリズムをあおり、近隣諸国からは「日本の右傾化」を警戒する声も上がる。徴兵制導入を懸念し、「子どもを戦争に行かせたくない」と不安視する声も寄せられたという。谷口さんは「『難しいからよう分からん』ではなく、当事者意識を持って政治に参加しないとだめ。勉強会などでおばちゃんのボトムアップを図り、政治家をしっかりと監視していきたい」と話す。
始動式は23日午後2時、大阪市浪速区稲荷2の区民センターで。元内閣府参与の湯浅誠氏が総合司会を務め、谷口さんらが政治や福祉の課題を討論する。入場無料。来場者には「アメちゃん」のプレゼントも。問い合わせはメールで同党(ajop.oba@gmail.com)へ。【重石岳史】