◇九州場所<11日目>
(21日・福岡国際センター)
両横綱が相次いで敗れた。白鵬(27)=宮城野=は大関琴欧洲(29)=佐渡嶽=に寄り切られて初黒星。単独トップは変わらなかった。新横綱日馬富士(28)=伊勢ケ浜=はかど番大関琴奨菊にはたき込まれて2敗目。琴欧洲は勝ち越しでかど番を脱し、琴奨菊は7勝目を挙げた。東西横綱が同じ日に黒星を喫したのは2009年名古屋場所11日目以来。大関稀勢の里は豊響を送り出して勝ち越した。1敗の白鵬を日馬富士と平幕の千代大龍(24)=九重=が2敗で追う。3敗は稀勢の里ら6人。十両は栃乃若が全勝で単独首位。
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2度も大きな衝撃が、駆け抜けた。1敗で白鵬を追う日馬富士が琴奨菊のはたき込みに敗れて2差が付いた直後の結びの一番。全勝の白鵬が琴欧洲に左上手を取られ45秒4の攻防の末、最後はあっさり土俵を割って今場所初黒星。館内に悲鳴と歓声が飛び交った。
両横綱に同じ日の土俵で土が付くのは09年名古屋場所11日目の白鵬、朝青龍以来3年4カ月ぶりの波乱。支度部屋に戻る途中、テレビで取組を確認した日馬富士は口をとがらせ「クソッ」と悔しさを飲み込んだ。
白鵬は琴欧洲に左上手を取られ、勝機すら見いだせなかった。厳しい形だったかと問われ「そうですね」。この日、風邪気味のため初めて朝稽古を休んだ白鵬。体調面の不安に「1回負けるとそういうこと言われるんだね」と顔をしかめた。
日馬富士もこの日朝、稽古場に現れなかった。理由は明かさないが、最近5日間のうち朝稽古に参加したのは1日だけ。その1日も師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)に注意され、若い衆に宿舎まで呼ばれてから出てきたほどだった。
「負けは負け。気持ちを切り替えて明日から集中します」と日馬富士。白鵬も「一番一番しっかりとっていく」。
北の湖理事長(元横綱)は「いつもの白鵬なら何とか残そうとするのにどうしたのか」と首をかしげ「日馬富士も変わらず1差なら追いつける気になるのでは」と両横綱の立ち直りに期待した。
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