ガザ:イスラエルとハマスの間で停戦発効
毎日新聞 2012年11月22日 10時19分(最終更新 11月22日 13時07分)
【カイロ前田英司】パレスチナ自治区ガザ情勢は21日夜、イスラエルとガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスが攻撃停止に合意し、午後9時(日本時間22日午前4時)、停戦が発効した。イスラエル軍によるハマス軍事部門の幹部暗殺で始まった暴力の連鎖は、イスラエル軍の地上侵攻という最悪の事態を回避して8日間で終息した。AP通信によると、一連の戦闘による死者はガザ側が161人、イスラエル側は5人だった。
エジプトのアムル外相が21日、クリントン米国務長官とカイロで共同記者会見し、明らかにした。
合意内容によると、イスラエルとハマスの双方が全ての戦闘行為をやめ、24時間の経過期間の後、ガザ境界の封鎖解除に向け、人の移動や物流を促進する措置の履行手続きに着手するが実現には困難を伴いそうだ。ハマスは当初、攻撃停止と封鎖解除を同時に実施するよう求めており、ハマス側が一定の譲歩を示した形だ。イスラエルが要求していたガザへの武器密輸阻止には米国が協力を約束した。
イスラエルとハマスは21日夜、それぞれ「勝利」を宣言して戦果を誇った。
イスラエルのネタニヤフ首相はバラク国防相、リーベルマン外相と共にエルサレムで会見し、「ハマス司令官を殺害して武器庫も破壊した。一段と強力な軍事行動が必要な時が来るかもしれないが、今は長期停戦の機をとらえる」と述べた。首相は会見前にオバマ米大統領と電話で協議し、改めてイスラエル支持を取り付けたうえで停戦に応じた。国防相は「目標は全て達成した」と強調した。
一方、カイロで会見したハマス指導者のメシャール氏は「(イスラエルは)『冒険』に失敗した。全パレスチナ人の勝利だ」と主張。「イスラエルが停戦を厳守する限り、我々も守る」と述べた。
しかし、停戦の行方は波乱含みだ。AP通信によると、発効して間もなく十数発のロケット弾がイスラエル南部に着弾した。また、イスラエルがガザ境界の検問所を「正常化」する可能性は皆無で、ハマスが反発する可能性もある。
今回の停戦はエジプトの調停の下、クリントン長官や国連の潘基文(バン・キムン)事務総長が関係者間を往復して実現にこぎ着けた。エジプトはイスラエル、ハマス双方へのパイプを生かして仲介外交を展開した。