<そのじゅうよん> | |
……2ヶ月前のあの日から、弟はときどきわたしの裸を見せてくれとせがむようになった。 とはいえ、気軽にホイホイと……ではなくて、お願いするのには結構な勇気を必要としてるみたいだけど。 「ん〜、またなの?……いいけどさ、もちろん『バイト代』ははずんでくれるんでしょーね?」 今日もそんな軽口をたたきながら、わたしは湯上がりの身体に巻いていたバスタオルを脱ぎ捨てて弟の ベッドに上がる。そして今までのように足を開こうとしたわたしを、弟が押しとどめた。 「あの……うしろ」 「え?」 「うしろから……うつぶせになって見せて欲しいん……だけど」 「はぁ?」 ただでさえ裸見せてやってるのに、その上ポーズの指定なんかするかなこいつは〜……なんて思いつつ、 わたしは弟をにらみつける。と、弟はとたんにショボーンとしてしまった。情けないやつ……そんな顔する ぐらいなら言わなきゃいいのにさ。 「……ポーズの指定は、『追加料金』だからね」 わたしはそう言いながらベッドの上でコロリ、と身体の向きを変えた。 ホントに、いつからこいつに対してこんなに甘くなってしまったんだろう。 |
ベッドの上にうつぶせで横たわり、わたしは身体をずらしながら軽く右足を曲げていく。 足の曲がりにつれて、わたしのアソコばかりじゃなく……おシリの穴までが弟の目の前に。 「はい、これでいーの?」 恥ずかしさを隠すように、わたしはぶっきらぼうに言い放つ。 「……………………」 弟からの返事はない。何をしてるのかと振り向いてみると、弟は一心に?私の身体の上に視線を這わせていた。 うなじから背中、腰へと、弟の視線は流れていく。そしておシリのあたりでぴたりと止まった。……きっとおシリの 谷間から覗いてる、おシリの穴とか、その下のアソコとか……見つめてるんだろう。 見る見るうちに弟の股間にぶら下がっていたペニスが、ぐんぐんと上を向いていく。 「いーーーーーの?!」 大きな声で再度呼びかけると、弟ははっとした様子でわたしの顔に目を向けた。 「あ、う、うん」 頬が赤い。さすがに我を忘れてたのがはずかしいんだろうか。 「じゃ、さっさと済ましちゃってよね」 そういうとわたしは、肩越しに向けていた顔を前に戻した。……あんまりじろじろ見られていては、あいつも 色々やりにくいだろうから。 「……………」 弟からの返事はまた、無かった。代わりに聞こえてきたのは、しゅっしゅっ、という連続したこすり音と ハァハァハァ……という熱っぽい吐息。見るまでもなく、弟が何をしているかが判る。左手でギンギンに ボッキしたペニスの根本を支え、右手で真っ赤に膨れ上がった先っちょをシコシコこすっているんだろう。 ハァハァハァと、吐息がどんどん荒くなっていく。 「ルリ姉……うっ……あ、ルリ姉……っ」 無意識のうちにだろう、弟はオナニーしながらわたしの名前を呼んでいた。 頭の中で、わたしとセックスしてる妄想でも描いてるんだろうか。 けれど……こいつはわたしのこと、どう思ってるんだろう。 わたしとセックスしたい。最初に裸を見せてやったとき、弟はそういった。そのときわたしは、弟がわたしのことを 異性として好きになってしまったんだと思った。 かなりとまどいはしたけど……妙に納得したというか、イヤな気分じゃなかった。 けれどそれからあと弟は何もしてこない。時々こんな風に裸を見せてくれとせがんで、オナニーするばかり。自分の 気持ちを言葉にしたり、形にしたりして伝えようとはしてこない。 わたしが本当に好きなら……姉弟としての感情以上の、異性としての感情を抱いているというのなら、どうして 何もしてこないのかな? それとも、こいつがわたしとセックスしたいなんて言ったのは、わたしが好きだから……ではないってことなのかな? こいつにとってわたしは単なる性欲のはけ口なのかな? 『この意気地なし……』 ……ちょ、ちょっと待った。わたしってば、何考えてる? 意気地なしって……わたし、こいつに「行動を起こして欲しい」って思ってるってーの!? 「行動を起こす」って、セックスされちゃうってことだよ? ……弟に抱きしめられてキスされて胸を揉まれたり吸われたりアソコ触られたり広げられたり舐められたりそしてそして ボッキしたペニスをアソコの中に入れられて…… ああ、やばいヤバイ。頭の中に変なビジョンが次から次へと浮かんでくるよぉ。 身体がどんどん熱っぽくなってくるよぉ……! そのときだった。弟がシャセイしてしまったのは。 |
「こっ……こら! 身体にかけるなって言ったでしょーに!」 弟のペニスから飛び出したセイエキは、背中からおしり、太股にいたるまで、べっとりとわたしの身体を汚していた。 はっきり言って気持ち悪い。でも、その気持ち悪さのおかげでわたしはやばい妄想から脱出することが出来た。 ……前にもこんなことあったっけ(笑)。 「………………………………ごめん」 あれ、と思ってしまう。シャセイして気持ちイイはずなのに、弟のやつってば妙にしょぼくれてる。 じぶんでもこんなことばっかしてる意気地なしって自覚してるのかな……って、だからちがうってば! 「………あれ……?」 わたしの身体に飛び散った精液をティッシュで拭いていた弟の手が、不意に止まった。おシリのあたりにさし かかっていたときだ。 そのとき、わたしは気づいてしまった。 わたしのアソコのあたりからシーツに向かって、つうっとしたたり落ちる感触に。 そのあたりに、弟のセイエキがかかった覚えは、なかった。……ということは…… 「……………………ッ!?」 わたしは跳ねるようにベッドから飛び起きると、傍らに投げ捨てていたバスタオルをあわてて身体に巻き付けた。 「る、ルリ姉! まだ拭き終わってない……」 「いっ、いい! もういいから! あとは……じぶんでするっ!」 突然の行動に唖然としている弟に叫ぶように言い残して、わたしは部屋から出ていってしまった。そしてそのまま 自分の部屋に駆け戻ると、ドアにカギをかけて、おそるおそる自分の股間に触れてみる。 「……………」 濡れちゃってるよ、おい…… しかも、べちょべちょじゃない。 あいつに……弟に抱かれるところを想像して、コーフンしちゃってたってこと? しかも、おそらくあいつはあたしが濡れちゃってたってことに、気づいたに違いない。手ェ、止まってたし…… 「………ああ、もぉ………」 このままじゃ、ダメかもしれない。いろんなイミで。 わたしはぼんやりと、そんなことを考えていた……。 |