と言うわけで、前置きは無しでさっさと本編を載せましょう。

はい、決して一日に三つも記事を書くのが面倒くさいとか
そういう類のサボりでは無いので(あーあ




コホン、この追記は
姉弟小説「本当の気持ち・・・」の続きになります。
と言うわけで、先刻に投稿した「姉弟小説1−1」を
読んでからお進みください。






































━━*━━*━━*━━*━━*━━



(ヒロー、これ代わりににお願いねー)
(な、何だよそれ)
(なによ、お姉ちゃんのお願い聞けないの?)
(・・・こういう時だけお姉ちゃん、って・・・)


いつもの光景だ・・・。
チカ姉が、俺に対してやたら理不尽な頼み方をしている。

チカ姉は都合が悪くなると、
すぐに『お姉ちゃん』と言う部分を強調してくる。

そういわれてしまうと、こっちもそれ以上は
強く拒否することが出来なくなってしまうわけで・・・。

全く、俺も俺だな。
結局最後には何時もチカ姉の言うこと聞いて・・・。

何時からだっけ・・・?
いや、きっと最初からなんだろうけど・・・。

物心ついたときにはチカ姉が居て、
当たり前のようにこき使われてたっけ。


(全く・・・なんで俺が・・・)


そう言いながら、
俺がチカ姉の用事をこなしている。

そう、これもいつもの光景だ・・・。
チカ姉が居て、俺が居て、
チカ姉の頼みを、俺が聞いている。
そんな光景だった・・・。





「ん・・・」


ゆっくりと目を開ける。
最初に映ったのは、見慣れたリビングの天井だった。

さっきのは夢か・・・。
ったく、夢にまで出てきてこき使うとは・・・。


「あれ、そう言えばチカ姉・・・」


そう言いながら辺りを見渡してみる。

だけど、リビングの中には俺一人しか居らず、
廊下の方には明かりが点っていない。

時計を確認すると、時刻は既に夜中の十一時近く。
意外とよく眠ってたみたいだ・・・。


「まだ帰ってないのか・・・」


一体何処で何をしているのだろうか。

何時もならもう帰ってきている時間なのに・・・。


「また酒でも飲んでるのか・・・?」


取り敢えず携帯に連絡入れておこうと思った俺は、
自分の携帯を取り出してチカ姉に電話をかける。

然し、何度コールしてもチカ姉の出る気配は無く、
暫くして留守番電話へと切り替わってしまう。


「なんだよ、チカ姉の奴・・・」


全く、遅くなるなら遅くなるで
連絡の一つもして来いよな・・・。

こっちは夕食も食べずに待ってるのに。
・・・まぁ、寝てたけど。


「・・・結局、居ても居なくてもチカ姉のことばっかりか」


ふと、そんなことを思ってしまう。

何時も、チカ姉に無理なことを言われて困ったり、
俺のことをからかって喜ぶチカ姉に怒ったりするくせに、
何でこんなにチカ姉のことばっかりなんだろう・・・。

最初はチカ姉に無理言われなくて済むからって、
チカ姉が居ないことを喜んでたくせに・・・。

何でこんなに気になるんだろう・・・。


「あーっ、もうっ・・・何だよ、これ・・・」


分からない。
一体、何でこんな気持ちになるのか・・・。

ただチカ姉が帰ってこないだけじゃないか。
何時もみたいにこき使われずに済むじゃないか・・・。

俺は、自分でも分からない焦燥感と、
どうしてなのか分からない寂寥感を感じながら、
近くにあったリモコンでテレビをつける。


『十一時のニュースをお伝えします・・・』


映ったのはニュース番組で、
いつもと同じような、事件や事故の速報が伝えられている。

──どこかの家に強盗が入った。
──どこかの交差点で車がぶつかった。
──どこかの通りで女性が刺された。

そんな、毎日起こっているような、
代わり映えのしない事件の報道なのに・・・。


「・・・もしかして、チカ姉・・・・・・」


嫌な考えが頭を過ぎる・・・。
すぐに俺は頭を振ってその考えを振り払う。

そんなこと・・・。
そんなことあるわけ無いじゃないか・・・。


「何だよ、何でこんなに気になるんだよ・・・」


何時も何時もチカ姉に逆らえずに
理不尽な要求ばっかりで嫌だったんじゃないのかよ。

一人でのんびり過ごせる夜なんて
久しぶりすぎる程に久しぶりなんじゃないのかよ・・・。

なのに、何で考えることは
全部チカ姉のことばっかりなんだよ・・・。

これじゃあまるで・・・。
まるで・・・。


「でも、俺達は・・・」


そう、姉弟だ。
そんな感情なんてありえない・・・。

俺が、チカ姉のことを・・・。


「好き、なのか・・・?」


声に出して漸く理解する。

自然に出たその言葉は、
きっと俺の気持ちなのだろう・・・。

そう思った瞬間、
今まで胸の中でもやもやしていたものが
スッと無くなる様な気がした。





だけど───。





「そんな事、言えるわけ無いじゃないか・・・」


そう、どんなに想っても、
どんなに好きだったとしても。

俺とチカ姉が姉弟と言う事に変わりは無い・・・。

だから、こんな事は言える訳が無いんだ・・・。

ずっと、俺の中だけに留めて置かなくちゃ・・・。





「でも、ホントにチカ姉は何処行ったんだろ・・・」


自分の中のもやもやが解決して
少しばかり落ち着いたけど、
どっちにしてもチカ姉が帰って来ないことに変わりは無く、
連絡を入れようにもチカ姉の携帯は繋がらないし・・・。

さっきのニュースを見た所為か、
やっぱり不安な気持ちになってしまう・・・。


「探しに行った方が・・・」


<ガチャ・・・>


「ただいまー♪」


俺が探しに行こうとソファを立った瞬間、
突然リビングのドアが開け放たれて、
スーツ姿で上機嫌な、チカ姉の声が響く。

突然の事で驚いた俺は、
ソファから立ち上がった姿勢のまま
暫く呆然と立っていた。


「どうしたの、ヒロ? 固まっちゃって」
「チカ姉っ、今まで何処行ってたんだよ!?」


チカ姉の声で我に帰った俺は、
チカ姉に対して、つい大きな声を上げてしまう。


「何処って、会社の女の子達と合コンにだけど?」
「合コン、って・・・」


キョトンとした表情を浮かべたまま、
チカ姉は何を悪びれる事も無く、のんきに言い切った。


「其れがさぁ、カッコいい男の子が居たんだよねぇ」
「・・・何だよそれ・・・・・・」
「ん・・・何が?」
「何でそんなに勝手なんだよっ!」


笑顔のまま、合コンの様子を語るチカ姉に、
俺は自分でも分からないままに声を荒げてしまう。

・・・いや、本当は全部分かってる。
ずっとチカ姉を待っていたのに、
チカ姉はその間、どこか別の男と一緒に遊んでたんだ。

其れは、俺の勝手なやきもちで、
物凄く身勝手な我侭でしかない・・・。

そんなこと分かっているのに・・・。
だけど、俺は自分を抑えることが出来ないで居た。


「なっ、何よ。何が勝手なの!?」
「勝手だろ!? こんな時間まで連絡もしないでっ」
「だってしょうがないじゃない、急に行くことになったんだもん」
「でも連絡の一つくらい入れられるだろ!?」


俺は、感情を抑えることが出来ないまま、
思っていた事をチカ姉にぶつける。

チカ姉も、俺の声に触発されてか、
最初の上機嫌な表情は消え、
怒ったように大きな声を出している。


「こっちはずっと待ってたんだぞ!?」
「別に私は待っててなんて言ってないわよっ」
「何だよその言い方、心配してたって言うのにっ」
「何時も何時も私の事、邪魔だって言ってるじゃない」
「だけど心配だったんだから仕方ないだろ!?」


もう何を言いたいのかさえ分からない。
いや、言いたいことがあるのかさえ分からない。

俺の言ってることはめちゃくちゃで、
普段の状態だったらきっとそんな風には言わないだろう・・・。

だけど、心の中がぐちゃぐちゃで、
言葉が止め処なく溢れて来るみたいだ・・・。


「何よ、そんなに怒るなら私の事は放っておいてよっ」
「そんなこと出来る訳無いだろっ!?」
「どうしてよっ?」
「チカ姉の事が好きだからだよっ」
「え・・・?」
「・・・っ!?」


──う、うそだろ・・・?
俺、何言って・・・。

刹那、俺とチカ姉は凍ったように動けなくなり、
二人で向き合いながら固まってしまう。

チカ姉は驚いたように目を見開き、
俺も自分の言葉に驚いて次の言葉を発することが出来ない。

それから、どれくらいの時間が経ったのだろう。
本当は数秒かもしれないその時間は、
まるで永遠のように感じられるほどだった・・・。

そして、不意にチカ姉が口を開く。


「何よ、そんな嘘ついて。もっと違うこと言えないの!?」
「嘘じゃねえよ」
「嘘よ、だって何時も私の事・・・」
「嘘や冗談でこんな事出来るかよっ!?」


チカ姉の言葉を遮る様に言い放ち、
俺はチカ姉との距離を詰める。

そして、チカ姉の肩を掴むと、
ピクッと体を震わせるチカ姉の顔を見つめ、
そのままチカ姉の唇に自分の唇を重ね合わせる。


「んっ・・・んむっ・・・」
「・・・ん、んっ・・・」


チカ姉は最初、驚きの声をあげていたが、
すぐに甘い吐息へと変わってゆく・・・。

チカ姉の唇は柔らかくて、
今までキスをしたことが無かった俺にとっては
初めての感触でもあった。

チカ姉は、俺の背中に腕を廻し、
ぎゅっと体を密着させるように抱きつき、
時折口元から小さく声を漏らしながら
唇を重ね合わせている。


「ん・・・っ、ちゅ・・・」
「・・・っ、んむっ・・・」


どれほどの時間が過ぎただろうか。
俺とチカ姉は、お互いに求め合うかのように
口付けを交わし続け、ぎゅっと抱きしめあう。

永いキスが終わり、
ゆっくりとお互いの顔が離れると、
二人の唇の間を繋ぐように細い銀糸が伝っている。


「な、何で抵抗しないんだよ・・・」
「どうしてそんなことする必要があるの?」
「だ、だって・・・無理やりだったし・・・」
「そうね、でも・・・好きな人からのキスを拒む訳無いでしょ?」


一瞬、チカ姉が何を言っているのかが分からなかった。

拒まないのは好きな人だから・・・?
其れって、つまり・・・?


「そ、それって・・・チカ姉が、俺の事を・・・?」
「気づくの遅いぞ・・・?」


そんなの信じられなかった。

何時も何時も俺の事をからかって、
すぐに俺の事をこき使って、
ただ楽しんでいただけだと思ってた・・・。

なのに、チカ姉が俺と同じ気持ち・・・?


「本当は、私の気持ちなんて話すつもり無かったのに」
「チカ姉・・・」
「だって、私達は姉弟なんだよ・・・?」
「・・・うん」


チカ姉が少し寂しそうな表情で言う。

俺だって同じ事を思った。
俺とチカ姉は姉弟だ。
誰からも認めてもらえない。
誰にも言うことなんて出来ない。

でも、俺はチカ姉のことが好きだ。
その気持ちは誰にも邪魔をすることは出来ない。


「でもね・・・」


スッと、チカ姉が凄く優しく微笑みながら
俺の頭をそっと撫でる・・・。


「私も、ヒロの事好きだよ・・・」
「チカ姉・・・」


やっと気づけた。
チカ姉の想いにも、
そして自分の想いにも。

だから、俺は俺の気持ちを伝えないといけない。
目の前に居る、大好きな女性へと・・・。


「俺も・・・俺も、チカ姉の事好きだよ・・・」
「嬉しい・・・ヒロ、大好き・・・」


そして、再び近づくチカ姉の唇。

その柔らかな唇が俺の唇に触れると、
チカ姉は俺の首に手を廻して口付けを交わして行く・・・。


「・・・ん・・・んふっ・・・」
「んん・・・っ・・・」


柔らかな唇の感触と共に、
ぎゅっと抱きしめたチカ姉の体から
トクン、トクンと鼓動の音が伝わってくる。

いつもより、ずっとチカ姉を近くに感じ、
俺の心臓もなんだか凄くドキドキしている。


「ちゅ、ぷ・・・んっ、んん・・・」
「・・・っ、んんっ・・・ちゅ」


突然、チカ姉の舌が俺の口内へと入り、
ゆっくりと、俺の舌を絡め取るように動き回る。

最初は驚いたけど、
俺もチカ姉の舌に自分の舌を絡めるようにして、
二人で深く、口付けを交わして行く・・・。

リビングには、二人の荒い息遣いと
時折口元からもれる二人の舌が絡む水音が響いている。

その光景はとても淫靡で、
大好きな女性と交わすキスが俺を興奮させてゆく。


「ん・・・っ、ちゅ・・・」
「ちゅぷ・・・んんっ、ん・・・んふ・・・っ」


ゆっくりとチカ姉の唇が離れ、
お互いの口元からは淫らに糸を引く銀糸が光る。

チカ姉はトロンとした表情を浮かべ、
視線も定まらない様子で俺の事をじっと見つめている。

そして、不意に微笑み、
ポフッと俺の胸の中に顔を埋めるようにして抱きついてきた。


「ヒロとキスしちゃった・・・」
「なんか恥ずかしいな・・・」
「ふふ・・・私、初めてだったんだよ・・・?」
「俺だって、チカ姉とするのが初めてだよ・・・」


照れた様に頬を朱に染め、
チカ姉が小さく微笑みながら俺を見上げる。

何時もとは違うチカ姉の表情に、
思わず鼓動が跳ね上がってしまう。


「私ね、ずっとヒロの事好きだった・・・」
「そっか・・・」
「でも、知られないようにずっと頑張ってたんだから・・・」
「・・・チカ姉」


不意に、表情を曇らせたチカ姉が、
ゆっくりと自分の想いを語る。


「姉弟だから恋人にはなれないけど、一緒に居ることくらいは、って」
「そうだったんだ・・・」
「だから、合コンとかに行って、彼氏でも作ればヒロの事忘れられるかも、って」


何も言えなかった。

チカ姉が、俺のことをこんなにも考えていたなんて。
今まで、そんなに辛い思いをしていたなんて・・・。


「でも、駄目だったよ・・・」
「え・・・?」
「だって、どんな男の人が居ても、ヒロの方が好きなんだもん・・・」
「チカ姉・・・」


思わずチカ姉を抱きしめる。
ぎゅっと抱き寄せたチカ姉は少し驚いていたけど、
その仕草が何だか凄く可愛くて、
俺は抱きしめながら小さく微笑が漏れる。


「もう、急に抱きしめられたらビックリするでしょ?」
「ゴメン、だけどチカ姉が可愛かったから」
「なっ、お姉ちゃんに向かって何よ其の言い方は」
「しょうがないだろ、可愛いんだから」


チカ姉の抗議の声に、
俺は苦笑を浮かべながら再び抱きしめる。

チカ姉もそっと俺の背中に腕を廻し、
俺の胸元に顔を埋めながらぎゅっと抱きついた。


「ヒロ、私達は姉弟だよ・・・?」
「うん」


ぎゅっと抱きついたままチカ姉が俺に問う。

其の声からは、
チカ姉が悲しんでいるのかは分からない。


「お父さんたちにこんなのばれたら、怒られるだけじゃないよ・・・?」
「良いよ、そんなの怖くない」
「私と居ても、幸せになれるかわかんないよ・・・?」
「違うよ・・・チカ姉と一緒じゃないと幸せになれないんだよ・・・」


チカ姉の顔を見ると、
何時の間にか其の目には涙が溢れている。

だけど、その表情はどこか嬉しそうで、
悲しくて流している涙じゃないというのが分かった・・・。


「そんな事言われたら、もっと好きになっちゃうじゃない・・・」
「良いよ、なっても。俺だってチカ姉の事が、誰よりも一番大好きだよ」
「もう、ヒロったらカッコつけちゃって・・・」


嬉しそうに微笑を浮かべるチカ姉。

そして少し頬を紅く染めながら、
俺の耳元で小さく呟きを漏らす。


「あのね、ヒロにお願いがあるの」
「良いよ、何でも言ってよ」
「私の事・・・抱いてほしいの」
「え、其れって・・・」


コクンと小さく頷くチカ姉。

上目遣いでそんな事言われたら
断れるわけ無いじゃないか・・・。

もともと断る理由も無いんだけど・・・。


「ヒロのお部屋、連れてって・・・?」
「え、連れてって・・・?」
「ふふ・・・お姫様抱っこして?」
「なっ、そんな事して連れて行くのか?」


えへぇ、と小さく微笑むチカ姉に、
俺はそれ以上何も言い返せない。

・・・どんな関係になっても、
結局チカ姉の言うとおりになるのは
変わらない、って事か。


「分かったよ、ほら」
「ありがと、ヒロ」


それでも良いかな、と思いつつ、
俺はチカ姉の体を抱きかかえる。

そして、チカ姉を抱き上げたまま
自分の部屋へと向かった。



━━*━━*━━*━━*━━*━━



「や、やだ・・・電気つけないでよ」
「だって、そうしないと見えないだろ?」


自分の部屋に入り、
チカ姉を俺のベッドに横たえて部屋の明かりを点ける。

チカ姉は掛け布団を胸元まで引き上げて、
恥ずかしそうに顔を赤らめながらもじもじとしている。

何だか何時ものチカ姉とは違う姿に、
俺の方が恥ずかしくなってしまう。


「こんなの初めてなんだから・・・恥ずかしいもん」
「チカ姉の恥ずかしがってる姿も可愛いな」
「そ、そんな事言わないでよ」


チカ姉は首筋まで朱に染めながら、
潤んだ瞳で俺の方を見上げている。

何時もはからかうように下着姿で歩いていたのに・・・。


「でも、チカ姉の事ちゃんと見たいから」
「もう、しょうがないわね・・・」


俺もベッドに腰掛け、チカ姉の頭をそっと撫でる。
チカ姉は布団で身体を隠しながらも、
目を細めて嬉しそうに微笑を浮かべる。


「ヒロ・・・キス、して・・・?」
「うん、チカ姉・・・」


俺はチカ姉の頬に手を添え、
そっと唇を重ねてゆく。

柔らかな感触が俺の唇に伝わり、
チカ姉の甘い吐息が掛かる。


「・・・ん・・・」
「んっ・・・」


ただ唇を重ね合わせるだけの穏やかなキス。

でも、すぐ近くにチカ姉の温もりを感じ、
俺の心の中にまで伝わってくるチカ姉の暖かさが心地良い。

ゆっくりと唇が離れると、
チカ姉は柔らかな微笑みを湛えながら
俺の顔をじっと見つめている。


「優しくしてね・・・」
「努力します・・・」


そっと、チカ姉の肩を掴んで、
ゆっくりと其の身体をベッドへと押し倒す。

チカ姉ははにかんだように微笑み、
そっと手を伸ばして俺の頬に触れる。

俺は再びチカ姉に口付けると、
ゆっくりと服の上からチカ姉の胸に触れる。


「ん・・・っ、あ・・・」
「気持ちいいの・・・?」
「わかんない、触られただけなのに・・・んっ」


胸に触れた瞬間、チカ姉の身体がビクッと跳ね、
顔を赤らめながらチカ姉が甘い声を上げる。

チカ姉が気持ちよくなってくれる事が嬉しくて、
俺はチカ姉が痛くないようにそっと胸を揉んで行く。

ふにゅ、っと軟らかい感触が手に伝わり、
チカ姉の胸が俺の手の中で形を変える。


「ヒロ・・・もっと、っ・・・強くしてもいい、よ・・・?」
「うん・・・チカ姉・・・」
「あっ、んっ・・・ヒロ・・・」
「凄いよ、チカ姉・・・凄く可愛い・・・」
「も、もう・・・ヒロのばかぁ・・・」


ボッと顔を朱に染めたチカ姉が、
俺の胸をポカポカと叩く。

まるで小さな子供のような反応に、
普段からは感じることの出来ない
チカ姉の新しい魅力を感じるような気がする。


「チカ姉、脱がすよ・・・?」
「やぁ・・・そんなの聞かないでよ・・・」


恥ずかしがりながらそっぽを向くチカ姉に、
俺は小さく苦笑を浮かべると
チカ姉の身体を覆っているワイシャツのボタンを外して行く。

全てのボタンを外し、
ゆっくりとワイシャツを肌蹴させると、
中からはレースがふんだんに使われた
黒の下着が露になる。

真っ白な肌に、其の黒が浮かび上がり、
其の姿は凄く妖艶で綺麗だった。


「チカ姉、凄く綺麗だ・・・」
「ばか・・・そんな事言わないでってば・・・」


俺はチカ姉の背中に手を入れ、
プチッと下着のホックを外す。

そして、下着を取ると、
チカ姉の胸を直接手で触れる。

服の上から触るよりも柔らかな感触の其れは、
俺の手の中でふにふにと形を変えて行く。

でも、中心には硬くなっている場所があり、
チカ姉が感じていることが分かる。


「チカ姉、感じてるんだ・・・」
「もう・・・ヒロのいぢわる・・・」
「何時もチカ姉にはいじめられてたからね」
「あ、あれは、ヒロに甘えるのが恥ずかしかったから・・・」


照れ隠しに俺の事をずっと苛めてた、と。

全く、もっと最初から優しくしてくれれば
あんなに、もやもやした気持ちにはならなかったと言うのに。

・・・やっぱり少しお仕置きが必要かな。


「じゃあ、これからは思いっきり甘えて良いよ」
「・・・うん」
「でも其の前に、チカ姉の恥ずかしがってる姿も見たいけど」
「何でそうなるのよぉ・・・」


俺はチカ姉の抗議を無視して、
片手で胸を揉んで行く。

そして、もう片方の手をゆっくりとしたにずらして行き、
スーツのタイトスカートの中へと滑り込ませる。

柔らかなチカ姉の太ももに触れながら、
ゆっくりと其の奥を目指して手を伸ばす。

一番奥に達したとき、
チカ姉の秘部からはクチュ、と小さく水音が響く。

下着越しからでも分かる其の感触に、
チカ姉も感じているんだと言う実感が湧く。


「やっ、ヒロ・・・そんなとこ・・・くぅ、ん・・・っ」
「チカ姉のココ、すっごく濡れてるよ?」
「だ、だって・・・ヒロが・・・あっ・・・」
「俺が、どうしたの・・・?」


ニヤニヤと微笑を浮かべながら
チカ姉の秘部を弄って行く。

クチュ、クチュと下着の奥から水音が響き、
其のたびにチカ姉が背中を跳ねさせながら
小さく喘ぎ声を上げている。


「やだ・・・もう、我慢できないよぉ・・・ヒロぉ・・・」
「分かったよ、チカ姉」


俺はそう言うとチカ姉の秘部から手を離し、
ゆっくりとスカートのファスナーを下ろして脱がせて行く。

チカ姉の黒い下着が露になり、
既にチカ姉の液でぐちゃぐちゃに濡れている。

ゆっくりと下着に手をかけ、
そのまま脱がせて行くと、
チカ姉の秘部から透明な液がクチュ、と糸を引く。


「こんなに濡れてるなんて・・・チカ姉、感じすぎ」
「だって・・・ヒロに触られると、ドキドキして・・・」
「そんなに良かったの?」
「うん・・・だから、もっと、もっとしてよ・・・」


瞳を潤ませながら懇願するチカ姉に、
俺の鼓動が一気に跳ね上がる。

チカ姉、こんな色っぽい表情もするんだな・・・。

其の表情は、何時もニヤニヤと笑いながら
俺をからかう時とは違い、
何処か惹きつけるような魅惑的な表情だった。

俺は一瞬、チカ姉の其の表情に見惚れ、
然しゆっくりとチカ姉の秘部へと顔を近づけ
そのままトロトロと透明な液が溢れ続ける秘部へと
舌をそっとはわして行く。


「ひゃっ、あっ・・・ん・・・だめぇ・・・」
「ちゅ、チカ姉・・・凄く綺麗・・・ちゅぷ・・・」
「ヒロぉ、お姉ちゃん変になっちゃうよぉ・・・っ」
「良いよ、もっと乱れた姿も見せて・・・」


ピチャピチャと音を立てながら
チカ姉の秘部を舐めてゆくと、
身体をビクッと跳ねさせながら
チカ姉の甘い声が上がる。

俺は其の声を楽しむかのように
チカ姉の秘部を舐め続け、
其のたびにチカ姉の秘部からは
透明な液がトロトロと溢れ続けてくる。


「ねえ・・・ヒロぉ、私もうだめ・・・」
「何が駄目なの・・・?」
「いじわる、ヒロのいじわる・・・」
「分かったよ、ゴメン、チカ姉・・・」


もっと意地悪をしたかったけど、
今にも泣きそうなチカ姉の表情を見たら
それ以上続けることなんて出来ない。

結局チカ姉には敵わないなぁと思いながら、
俺は自分のズボンをゆっくりと下ろし、
下着も脱いで既に限界まで大きくなっているソレを取り出した。

チカ姉は大きくなっているソレを真剣に見つめ、
何処か少し不安げな表情を浮かべている。


「これがヒロの・・・」
「チカ姉、初めてなんだろ? 無理しなくても・・・」
「初めてなのはヒロも一緒でしょ? いいの、ヒロになら・・・」
「チカ姉・・・なるべく痛くないようにするから」


でも、そこでふと思い出す。

まさかチカ姉とこんな事するなんて思ってなかったから、
避妊具なんて当然あるわけも無く、
このまましたら、もしかすると・・・。


「そう言えば、チカ姉・・・このままだと」
「ふふ、今日は良いの・・・来て、ヒロ・・・」


ゆっくりと包み込むように
チカ姉が俺の体を抱きしめ、そのままぎゅっと引き寄せる。

俺はゆっくりとチカ姉の秘部へと
自分のソレをあてがい、そのままゆっくりと
チカ姉の中へと腰を押し進めて行く。

グチュ、と淫らな水音と共にソレが入って行き、
チカ姉の身体がピクッと跳ねる。


「チカ姉、痛かったら言えよ・・・?」
「うん・・でも、ヒロになら何されてもいいの・・・」


そっとチカ姉と口付けを交わし、
俺はそのままチカ姉の奥深くへと腰を進めて行く。

すると、すぐに何かに引っかかるような感触があり、
其れがチカ姉の処女膜だということに気づく。

じゅぷ、とソレを押し込むと、
何かが破れるような、そんな感触と共に
チカ姉の奥深くまでソレが挿入される。


「いっ・・・痛っ・・・」
「だ、大丈夫か? チカ姉・・・」


ビクッと身体を震わせたチカ姉は、
破瓜の痛みに耐えるかのようにぎゅっと目を閉じ、
シーツを力いっぱい握り締めている。


「うん・・・大丈夫だから、ヒロの気持ち良いように動いて・・・?」
「そんな事出来ないよ、チカ姉が痛がってるんだから」
「ふふ・・・ヒロ、優しいね・・・」
「バカ、こんなときにからかうなよ・・・」


俺はチカ姉の言葉を待たず、
そのまま唇でふさいでしまう。

チカ姉は甘い吐息を漏らしながら、
少しだけ背中の力を抜いて俺に抱きついている。

チカ姉の中はぎゅうぎゅうと締め付け、
今にも俺は限界を迎えそうになっている。

でも、こうやってチカ姉とキスを交わし、
凄く穏やかな時が流れるこの瞬間が、凄く愛おしかった。


「ん・・・ふぁ・・・っ」
「もう、大丈夫なのか?」
「うん、ヒロのキスのおかげだね・・・」
「そっか、じゃあ動くよ?」
「良いよ・・・私で沢山気持ちよくなって・・・」


<グチュ・・・じゅぷ・・・ずちゅ・・・>

淫らな水音を響かせながら
ゆっくりと腰を前後させてゆく。

チカ姉からは苦痛の表情は消え、
俺の顔を見つめながら優しく微笑んでいる。


「あんっ・・・ヒロのが、奥まで届いてるのぉ・・・っ」
「チカ姉の中、凄く気持ちいい・・・っ」
「やっ、あん・・・っ、私も、気持ちいいのっ・・・んっ」


俺はふるふると揺れるチカ姉の胸を揉みながら、
腰を前後させる速度をさらに上げる。

グチュ、グチュとチカ姉の秘部から
少しだけ紅く染まった液が溢れ、
白いシーツに染みを作る。

チカ姉は其の快楽に身を任せ、
可愛く喘ぎ声を上げながら俺にぎゅっと抱きつく。


「ひゃ、んんっ・・・ヒロ、ヒロぉ・・・」
「チカ姉っ・・・もう、俺・・・っ」
「私も、ヒロと一緒に・・・一緒にイくのぉ・・・っ」
「うん、俺もチカ姉と、一緒に・・・っ」


ぎゅっとお互いに抱きしめあいながら、
俺は腰を激しく前後に動かして行く。

チカ姉の秘部の中は熱く、
柔らかい感触なのにぎゅっと締め付けてきて、
まるで俺の精液を搾り出そうとしているようだ。

チカ姉は既に恍惚とした表情を浮かべ、
俺が腰を突き込むたびにピクッと身体が跳ねる。


「あぁっ・・・ヒロ、もう・・・駄目・・・っ」
「俺も、もうイくよ・・・チカ姉・・・っ」
「来て・・・ヒロ、中に・・・中に出して・・・あぁぁぁぁぁぁぁんっ」
「くっ・・・チカ姉・・・っ」


ドクドクドク・・・ッ

一際大きくチカ姉の身体が跳ね、
其の瞬間チカ姉の秘部の中がぎゅうっと締まる。

そして、俺もそのまま限界を向かえ、
チカ姉の中に思いっきり精液を吐き出して行った・・・。



━━*━━*━━*━━*━━*━━



チカ姉の中で限界を向かえ、
俺とチカ姉はそのままの格好で
暫くお互いを見つめあっていた。


「ふふ・・・ヒロとエッチなことしちゃった・・・」
「チカ姉、気持ちよかった・・・?」
「うん・・・ヒロが優しくしてくれたから」
「そっか、良かった」


チカ姉がフワッと優しげな微笑を見せる。
俺は安心して一息つき、
チカ姉の顔をじっと見つめながら顔を近づける。

ゆっくりと重なるチカ姉の唇。
そして、そのまま背中に手を廻したチカ姉は、
俺の口内へと舌を入れながら激しくキスを交わして行く。


「ん・・・っ、ちゅ・・・っ」
「・・・ん、むっ・・・ちゅぷ・・・」


お互いに唾液を交換するかのような激しいキスを交わし、
ゆっくりと唇が離れると、チカ姉の口元には
妖艶な光を湛える一筋の銀糸が垂れている・・・。

其の表情に見惚れながら、
俺は今この瞬間が凄く幸せであることを
心の其処から感じ取っていた・・・。


「私達これからは・・・恋人なのかな・・・?」
「そう、なるのかな・・・?」
「ふふ・・・ちゃんと守ってくれる・・・?」


チカ姉が小首をかしげながら
上目遣いで尋ねてくる。

其の仕草は反則的なほどに可愛く、
思わず心臓が飛び出しそうなほど跳ね上がる。

でも、俺は小さく苦笑を一つ浮かべ、
小さい子供に言い聞かせるようにチカ姉の耳元で囁く。


「当たり前だろ、俺がずっと守ってやる」
「うん・・・ヒロ、大好きだよ・・・」
「俺もだよ、チカ姉・・・大好きだ」


お互いの気持ちを確かめ合い、
俺とチカ姉は再びぎゅっと背中に手を廻して抱きしめあう。

チカ姉の温もりと鼓動の音が伝わり、
きっと俺のドキドキも伝わってるんだろうなとか思いつつ、
何だか凄く幸せな気分に浸っていた・・・。










と、そんな甘い雰囲気を
一気にぶち壊すような音が部屋に響く。

其の音は、隣で寝ているチカ姉から聞こえてきて・・・。


「ねえ、ヒロ・・・」
「え、なに・・・?」
「・・・お腹すいた」
「・・・は?」


突然の宣言に、
俺は驚きと戸惑いの声を上げるしかない。

どうやらさっきの音は、
チカ姉のお腹の音だったみたいです・・・。


「だからぁ、お腹すいたの、何か作って」
「・・・・・・」
「ヒロ、聞いてるの?」


さっきまでの甘えるような声とは一転、
いつものチカ姉の声に戻ったばかりか
さらには空腹の解消まで求めてきている。

・・・全く、結局俺は
チカ姉にこうやって振り回されるのか・・・。


「分かったよ、でも先にシャワー浴びてこいよな」
「うん、じゃあヒロも一緒に」
「はいはい、分かったから・・・って、えぇ!?」
「ふふっ、分かったって言った・・・ほらっ、行くよ?」


言うが早いか、チカ姉は既に
俺の手を引っ張りながら部屋の扉を開けている所だった。

俺はチカ姉に引っ張られながら、
心の中ではこんな関係も悪くないかも、
なんて思っている自分が居たりした・・・。










+++END+++










+++あとがき+++


さて、皆様お久しぶりです、
ん、あなたは初めましてですか?


ココに、姉弟小説第二段。
『本当の気持ち・・・』をお届けしました。


ども、玉露です(笑





今作は今までの姉弟とは一新。
登場人物も完全に作り直し、
新たに書き始めたものです。

シリーズ化するかは、まだ検討中。

ちなみに、第一話を思いついたのは、
玉露が仕事をしているときでした(笑

仕事も適当にずーっとこの小説のプロットを考え、
休憩中にメモへと内容を書き記して、
其れをパソコンへと起こして書き上げた次第。



今までの姉弟作品では、
最初から二人は甘甘な関係といいますか。

今回みたいな展開は書けない物だったんですよ。

でも、こういう作風はやはり
幼馴染や兄妹では出せない、姉弟じゃないとッ

てことから始まりました(笑


執筆はそれほど苦労と言う苦労も無く、
最初からスムーズに書けていったと思います。

でも、やっぱり書いている途中で
二転三転話がずれていったりもしてます。

これは、まぁ仕方の無いことですが。




さて、今作テーマを。

今回は、

「意地悪な姉」「苛められる弟」「唐突」

「発覚」「立場逆転」


と、そんな風な要因が大半を。
後は玉露の好きな甘甘な雰囲気が占めております。

やはり甘甘はどの作品にも欠かせませんね。


そうそう、えちぃシーンも
今までより過激な単語を使ったりしてるんですよ?

今まで使ったことの無い表現法もあったりして、
結構ドキドキでした(笑

まあ、凄く微妙な変わり様なんですけどね・・・。
玉露としては、精一杯かもしれないです(笑



さて、今回の作品も
ココまで読んでくださった皆様には心よりの感謝をココに。

そしてこの作品がもっと続くことになればいいなと
作者自身夢見つつ、今回はこの辺で。



2006.10.22     そろそろ寒くなってきた夜。     玉露