アングル:日本企業の東南ア投資加速、「チャイナ・プラスワン」活発に
[プノンペン 6日 ロイター] 領土をめぐる対立で日中間の緊張が高まる中、中国リスクを回避するために他国に進出する「チャイナ・プラスワン」の取り組みが活発化している。
円高を背景に海外事業を拡大する日本企業の間でも、リスクが見込まれる中国への過度な依存を避け、東南アジア各国を代替の製造拠点として活用する動きが次第に強まってきている。ロイターが実施した10月企業調査では、日本の製造業者の約4分の1が中国への投資計画を見直していることが明らかになった。
日本の財務省によると、日本の対東南アジア諸国連合(ASEAN)の海外直接投資(FDI)の純流出額は昨年、2倍超に増加し、過去最高の1兆5500億円(195億ドル)に達した。東南アジアの魅力は労働力の安さだけではない。人口6億人のASEANでは、急成長を背景に中間層が拡大する中、日本製の自動車や電化製品、サービスに対する需要が高まっている。
昨年の東日本大震災やタイの洪水も、世界的な供給網のさらなる混乱回避に向けた事業多角化の必要性を認識させる結果となった。日本貿易振興機構(ジェトロ)のハノイ事務所長、山岡寛和氏は「2011年に日本企業は2つの自然災害から教訓を得た」とし、「今年は中国のリスクが認識されており、製造業にとってのリスクシェアリングについて検討を深めるようになった」と指摘した。
<ASEANの成長>
鉄道や道路などインフラ投資が拡大するなか、ASEANは国境を越えた事業の連携を容易にすることを狙い、2015年末までに欧州連合(EU)のような単一市場を立ち上げるための取り組みを進めている。景気が減速する欧米や中国に対して、この地域の経済成長には目を見張るものがある。
日産自動車(7201.T: 株価, ニュース, レポート)はASEANでの販売台数を2017年までに3倍超の50万台とする計画で、2日にはタイに3億5800万ドルを投じ、第2の組み立て工場を建設すると発表。西川廣人副社長はタイでの投資加速について、ASEANとタイの成長を確信しているためと説明した。
タイの投資委員会(BOI)によると、日本からタイへの投資額は1─9月で3倍近くの約81億ドルとなった。 続く...