今年韓国映画を見た観客が初めて1億人を超えた。国民1人当たり約2本の韓国映画を観覧したことになる。2006年の記録(9791万人)を6年ぶりに更新した。映画『泥棒たち』『王になった男』が観客動員数1000万人を超えたほか、100万人以上を動員した映画も27本に上った。これは韓国映画が市場開放に合わせ、自ら体質を変え、徐々に競争力を高めてきたおかげだろう。
映画界は06年の韓米自由貿易協定(FTA)交渉で、韓国政府が韓国映画の義務上映日数、韓国国内の映画館に一定基準以上の韓国映画の上映を義務づける「スクリーンクォータ」制度を146日から73日に縮小した際「文化は協約の対象ではない」として猛烈に反対した。映画関係者たちは街に出て反対運動を行った。文化勲章を受章したある俳優は「文化の主権を踏みにじる国の勲章は価値がない」として勲章を返納した。しかし「韓国映画を滅ぼす」といわれたスクリーンクォータ縮小は「毒」ではなく「薬」となった。
韓国映画は2007年から4年間、観客が減少し続けたため、構成や内容がしっかりしたシナリオを選んで制作した。昨年からはハリウッドにはまねできない韓国的なストーリーで再び観客を集め始めた。伝統的な弓術を扱った『神弓 KAMIYUMI』や、40代の思春期の思い出を刺激した『サニー 永遠の仲間たち』、90年代に大学に通った世代の初恋を思い出させる『建築学概論』、社会的な素材を掘り下げた『トガニ 幼き瞳の告発』や『折れた矢』が相次いで成功を収めた。韓国映画は観客を世代別に分けてターゲットとし、ジャンルを多様化して市場占有率を60%にまで引き上げ、ハリウッドの大作も気を抜けない状態となった。
韓国映画は現在、国内市場が限界に達し、海外市場へ進出しなければならないという課題を抱えている。また、大企業が経営する映画館のスクリーンの80%は、大企業が投資・制作したり輸入した映画で埋まっている。そんな中、中小映画会社や低予算の独立映画は上映館を確保することすら難しいという現実も問題となっている。しかし、韓国映画を成長させる力は政府の保護ではなく、映画関係者たちのチャレンジ精神だということを、1億人の観客が立証してくれた。