来月16日に行われる衆議院議員総選挙で政権獲得が確実視されている自民党が21日、戦争を放棄し軍隊の保有を禁止した「平和憲法」を改正し、集団的自衛権を導入したり、国防費を拡充したりするなど、極右的な選挙公約を打ち出した。自民党はまた「竹島(独島の日本名)の日」を記念する行事を政府主催で行う方針を打ち出した。このほか、過去の歴史に対する反省を盛り込んだ歴史教科書は「偏向した自虐史観」だとして全面的に改める方針を示した。
一方、自民党は憲法改正により、天皇を国家元首に格上げすることも公約した。現行憲法では、天皇を、日本国および日本国民統合の象徴と規定するにとどまっている。
自民党がこの日打ち出した選挙公約は、日本の侵略戦争に対する責任を根本的に否定するものだ。過去の国家による過ちを認め、再び戦争を起こさないと誓った平和憲法を破棄し、事実上、戦前の体制に戻るという意味だといえる。
自民党の安倍晋三総裁は普段、自らの政治的な目標について「戦後体制からの脱却」にあるとし「日本の戦後体制は、戦後の占領時代につくられたもので、その頂点が現行憲法であるため、憲法を改正すべきだ」と主張してきた。
しかし、自民党が政権を獲得したとしても、憲法を改正するためには衆参両院議員の3分の2以上の賛成を得て、国民投票を行う必要があるため、実際に憲法改正につながる可能性は低い。だが、歴史の歪曲(わいきょく)や集団的自衛権の導入、軍備拡張などは、関連法を改正したり、憲法解釈を見直したりするだけで可能だ。このため、韓国や中国など周辺国家との対立が今後深刻化し、軍備をめぐる競争を招く可能性が高い。