阪急百貨店:梅田本店が全館オープン
毎日新聞 2012年11月21日 12時35分(最終更新 11月21日 13時35分)
売り場面積約8万平方メートルと西日本一を誇る阪急百貨店梅田本店(大阪市北区)が21日、全館オープンした。運営母体のエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングによると、先月25日の一部先行オープン以降、売上高は前年の2倍に達しており、最寄り駅の阪急梅田駅やJR大阪駅の乗降客数も大幅増。7年をかけた大改修の滑り出しは大成功といえそうだ。一方、同じ梅田地区や京都、大阪の百貨店では来店者の動向に早くも影響が出ている。
朝から約1800人の行列ができ、午前10時に予定していた開店を10分繰り上げた。同店では、先行開業後の半月間の入店客数が平日12万〜13万人、土日は17万〜18万人と、前年の2.2倍。売り上げも2倍となっており、予想以上のペースで好調だ。
梅田を訪れる人も増えている。1日81万人が利用する西日本一のターミナル、JR大阪駅では、近距離切符の購入者が先月25日の先行オープン後、前年と比べて最大7%増加した。阪急梅田駅の乗降客も、先月24日から今月18日までの期間、同4.5%増えた。「百貨店開業の影響は明らかだ」(JR西日本)という。
一方、同じキタ地区にある大丸梅田店では、食品売り場の一部や高級ブランド品など、阪急が力を入れる分野で「人が流れ、売り上げが落ち込んだ」(同店)と認める。ただ、働く女性向けの衣料や化粧品売り場などでは、阪急だけでなく、複数の店で買い物をする客も目立つという。
また、阪急は大阪以外の買い物客も取り込むことを狙っている。実際に10月の百貨店売上高は京都地区で前年同月比1.6%減と売り上げが減少。神戸地区は0.8%増だったが、9月の2.7%増に比べ伸び悩んだ。阪急の先行オープンは先月25日で統計には1週間分しか反映されていないが、日本百貨店協会は「梅田に人が流れているようだ」と分析する。
こうした事態を受け、各店は臨時のセールで「阪急対策」に乗り出す。大丸はこの日から来月11日まで、食品売り場で人気スイーツや弁当など総菜のワンコインセールを実施。JR大阪三越伊勢丹も、買い物券や食事券が当たる抽選会を25日まで開催する。今後各店は、集客に向けて知恵を出し、個性を打ち出す考えだ。【南敦子】