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最終更新:2012年11月21日(水) 21時30分

混乱深まるガザ 停戦交渉難航

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 イスラエルと、パレスチナ自治区のガザを支配するイスラム主義組織・ハマスとの間の停戦交渉が難航しています。止むことの無い爆撃に、混乱が深まるガザからの報告です。

 「相当近かったな。2軒隣か?何あったっけそこに?」(記者)

 パレスチナ自治区ガザ、21日未明。JNNの取材クルーは、夜間もやまないイスラエル軍の爆撃音を収録するため、カメラを録画状態で置いていました。そこに捉えられた一瞬の閃光と轟音。着弾したのは、各国のメディアが宿泊するホテルのすぐ近くの空き地でした。

 「それ以上向こう側には行くな。また撃ち込まれるぞ」

 ホテルの部屋でも、窓ガラスが爆風で割れました。市街地で何が標的にされたのかは分かりません。

 1週間を超えて続くイスラエル軍の爆撃。その標的についてイスラエル側は、「ガザ側から発射されるロケット弾の発射台などを狙っている」としますが、現場では、その主張とかけ離れた被害が広がっています。

 3階建ての建物が、ほぼ、だだのがれきの山と化しています。そして、弔問客がたくさん訪れています。ここに建っていた家は夜間にイスラエル軍の爆撃を受け、跡形もなく破壊されました。

 「仕事で外出していたときに自宅が爆撃されたんです。17歳の娘は今もがれきの下にいる。がれきに埋もれたままなんだ。」(ジャマル・ダルーさん)

 ダルーさんの留守中、家の中には家族9人がいました。16歳と17歳の娘、義理の娘とその幼い4人の子供、50歳の妻、80歳の姉。全員が死亡しました。

 「私と息子だけが残った、みんな失ったよ。イスラエルの言う“民主主義”はどこにあるんだ。ユダヤ人(イスラエル人)はパレスチナ人の血を求める吸血鬼だ」(ジャマル・ダルーさん)

 現場を訪れる多くの若者たち。悲しみと憎しみは、また次の世代へと受け継がれていきます。

 停戦合意間近との観測も流れた20日。イスラエルの後ろ盾となっているアメリカのクリントン国務長官が、急遽、ネタニヤフ首相と会談。「引き続き調停努力を続ける」として、まだ時間がかかることを伺わせました。

 調停の成果が出ないまま、この1週間にガザでは130人以上が死亡。多くの子どもを含む死傷者が出ていることへの批判を意識してか、イスラエル軍は新たな作戦に出ました。

 「ガザの北部に退避避難命令が出たようで、こうやって北部の住民たちが次々とガザ中心部の国連の施設にやってきています」(記者)

 緊急の避難先となった学校に押し寄せる人々。20日、ガザ北部ではイスラエル軍が空からビラを撒いたといいます。

 「ビラには“住民は中心部へ行け”と書いてあったんです」(北部から避難した人)

 イスラエル軍からの突然の退避勧告。ガザの人々にとっては爆撃予告にほかならず、なだれを打っての避難が始まりました。

 「四六時中ミサイルが落ちてくるので、子どもたちがおびえてるんです」(北部から避難した人)

 停戦が遅れる中、死傷者が増え続けるだけでなく、ガザの混乱も深刻さを増しています。(21日17:45)

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